タイトル |
巨大胚・糯水稲新品種「めばえもち」 |
担当機関 |
(独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
1988~2001 |
研究担当者 |
上原泰樹
小林 陽
古賀義昭
太田久稔
清水博之
三浦清之
福井清美
大槻 寛
小牧有三
笹原英樹
堀内久満
後藤明俊
奧野員敏
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発行年度 |
2001 |
要約 |
水稲「めばえもち」は寒冷地南部では中生の早に属する糯種で、短稈で、偏穂数型の系統である。玄米の胚芽部分が一般品種の約3倍あり、水に浸漬した胚芽に含まれる機能性成分(ギャバ)量が多いことから発芽玄米餅等への加工利用が期待される。
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キーワード |
水稲、めばえもち、糯、胚芽、機能性成分、ギャバ、発芽玄米
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背景・ねらい |
米の胚芽には機能性成分のギャバ(γ-アミノ酪酸)が多く含まれており、ギャバは血圧降下作用に加えて、不眠・睡眠障害、神経質・イライラ・興奮などの感情障害、めまい・頭痛などの精神神経症状の緩和にも有効である。また、玄米を水に浸漬し、ギャバの蓄積量を高めた「発芽玄米」が商品化され、消費者の機能性食品への関心も高まっている。 そこで、ギャバの蓄積量を多くするため、胚芽の部分が通常品種の2倍以上ある巨大胚の糯品種を育成し、巨大胚入り餅など新たな機能性食品の開発を可能とし、健康増進に寄与する。
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成果の内容・特徴 |
- 表1に示すように、「めばえもち」は、1988年中央農業総合研究センター・北陸研究センター(旧北陸農業試験場)において巨大胚の糯品種の育成を目的として「金南風」の巨大胚突然変異系統「EM40」(九州大学育成)と「中部糯57号」(後のココノエモチ)を交配した後代から育成された系統である。
- 出穂期、成熟期は「こがねもち」並で、中生の早に属する糯種である。
- 「こがねもち」に比べ稈長は明らかに短い短稈で、穂長は長く、穂数は多く、草型は偏穂数型で、耐倒伏性は中で、ふ先色は赤褐である。
- 玄米重は標肥栽培では「こがねもち」より少ないが、多肥栽培では多収となる。
- いもち病抵抗性遺伝子型はPiaと推定され、葉いもち圃場抵抗性は中、穂いもち圃場抵抗性はやや強で、白葉枯病圃場抵抗性は中、穂発芽性は中である。
- 玄米千粒重はやや軽く、胚芽重は「こがねもち」の約3倍あり、発芽玄米ではギャバが「こがねもち」の2~3倍量含まれる。
- 玄米品質は中中、餅の食味は中上で、ともに「こがねもち」よりやや劣る。
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成果の活用面・留意点 |
- 適応地域は「こがねもち」等の熟期の作付けが可能で、冷害の危険性の少ない北陸、東北中南部、関東以西である。
- 種子の発芽率および出芽率が低いので、播種量を2割程度多くする。短稈ながら穂数が多いため、過度な追肥は倒伏を助長するので避ける。粒着がやや疎で、1穂籾数少なく、登熟が早いので、刈り遅れに注意する。
- 巨大胚を利用した、ギャバ蓄積量の多い餅等の機能性食品開発が可能である。
- 発芽玄米に関心の高い地域では地域おこしの一環として発芽玄米餅等の商品開発が考えられ、導入が予定されている。
- 「めばえもち」を用いた特許「巨大胚米を用いた胚芽入り餅・団子生地、甘酒及びおこし様菓子の製造法」(特願2001-165066、農研機構、小林明晴、上原泰樹、清水恒、小牧有三、太田久稔)を申請した。
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図表1 |
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カテゴリ |
いもち病
加工
機能性成分
新品種
水稲
機能性食品
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
播種
品種
良食味
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