タイトル | 施肥マップ情報に基づく可変施肥作業技術 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
金谷豊 建石邦夫 行本修 佐々木豊 重田一人 黎文 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 施肥マップと作業経路から生成される累積散布量目標値を参照しつつ、GPSによる位置情報に応じた肥料散布量制御を行い、かつオペレータに運転支援情報を与えることにより、施肥マップに即した施肥作業を精密に行うことができる。 |
キーワード | 施肥マップ、位置情報、可変施肥、制御方法、精密農業 |
背景・ねらい | 精密農業において、前作の収量、土壌、生育状態等の情報から推定されたメッシュ毎の最適な施肥量を表す施肥マップに従って、メッシュ毎に肥料を散布する手法がある。しかし、目視でマップ情報に応じて正確に可変散布することは容易ではない。そこで、施肥マップ情報に応じて自動的にかつ精密に可変施肥を行える施肥機と散布制御方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 試作した可変施肥機(散布幅1.8m、散布幅0.6m単位で可変量制御、ホッパ容量90L)は、市販の粒状肥料散布機をベースに位置情報取得のためのDGPS(静止誤差0.7m)、施肥マップデータの入力・表示や肥料繰り出し部の制御を行うコンピュータ等で構成され、トラクタの前部または乗用管理機後部に装着できる(図1)。 2. 肥料繰り出し量の変更は、繰り出しロール駆動用モータの回転数をコンピュータからの指令電圧値に基づいて制御することで行われ、単位面積あたり散布量は、指令電圧値と速度(段)により定まる(図2)。 3. 散布量に応じた作業速度段の変更は、コンピュータにより適宜オペレータに指示される。また、横方向座標が自動生成された作業経路から外れた場合には、オペレータに指示を出し、再設定を促す(図3)。 4. 可変施肥作業は、メッシュ毎の数値データとして与えられる施肥マップに基づいて、専用ソフトウェアにより行われる。作業経路は、あらかじめ入力された圃場の位置座標、進入場所に基づき枕地を考慮して往復作業を行うように自動生成され、同時に行程別にメッシュ毎の散布量を長辺方向座標に沿って積算した累積散布量目標線が生成される(図3)。 5. 肥料繰り出し量は、速度情報を考慮して散布量の積算値が累積散布量目標線と一致するように制御される(累積制御)ため、単純に位置情報のみから施肥マップに比例した制御を行う場合(比例制御)に比べ、メッシュ毎および圃場全体の総散布量の誤差を少なくすることができる。稲用の追肥を想定した可変施肥試験の例では、施肥マップと比較して、メッシュ毎の散布量の平均誤差は比例制御の25%に対して累積制御では17%に、圃場全体の総散布量の平均誤差は同じく16%から9%に減少させることができる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 全面散布だけでなく、側条施肥を行う作業にも活用でき、小区画の可変施肥が行えるため、精密農業等の試験用の機材として利用可能である。 2. 使用する資材毎に指令電圧値と繰り出し量の関係式を補正する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 GPS 施肥 肥料散布 |