種子シートを用いた田植機汎用利用による水稲湛水土中点播直播技術

タイトル 種子シートを用いた田植機汎用利用による水稲湛水土中点播直播技術
担当機関 (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2000~2002
研究担当者 玉城勝彦
金井源太
庄司智浩((株)スリオンテック)
大谷隆二
長崎裕司
発行年度 2002
要約 田植機の掻き取りピッチに合わせて列状に溝切りしたポリウレタンシートに種子を固定した種子シートをロール状に巻いて田植機に搭載し,植付爪等を変更することにより湛水直播専用機を購入することなく、田植機を汎用利用し、水稲湛水土中点播直播が可能である。
キーワード 田植機、湛水直播、種子シート、汎用利用、土中点播
背景・ねらい 田植機の苗載せ台に種子シートを搭載し、植付爪を用いて種子を強制的に一定の深さに押し込みながら播種する湛水土中点播直播技術の開発により、湛水直播の苗立ちの安定化と現在の水田作経営へのスムーズな導入を図る。
成果の内容・特徴 1.
種子シートは育苗用播種機を利用した種子シート作製装置により作製する。厚さ12mm×幅280mm×長さ1150mmのポリウレタンマットに、溝切り部で田植機横方向掻き取りピッチ(18回取り)に一致させて列状の溝(幅6mm、深さ4mm)を切り、溝部分に接着剤(酢酸ビニル系)を塗布する。トラフ(列状に溝切りした種子板)を設けた振動式播種部により,列方向に対して1cm当たり約3.5粒の種籾を均一に落下させ(1シート当たり乾籾換算播種量180g)、鎮圧する。一人作業では1枚の種子シート当たり1分49秒で作製でき、乾燥棚(2.1m3、45枚収納可能:27a相当分)で乾燥させる(図1)。
2.
種子消毒、浸漬を行って乾燥させた種籾を用いて種子シートを予め作製しておく。2枚の種子シートを接着剤で縦方向に接着して1本のロールに巻く。播種前日に一旦、水中に浸漬させた後、一晩程度、育苗用発芽器(32℃)内で鳩胸状態まで催芽して用いる。例えば、小型発芽器(1.3m3、56箱用)では、32ロール(38a相当分)が催芽できる。
3.
田植機は(1)植付爪の変更、種子シート保持爪並びに植付爪ガイドの追加、植付爪変更に伴ってプッシュロッドへのスペーサ追加、(2)種子シートホルダ、シート押さえの追加、(3)播種深度調整のためフロート部へのスペーサの追加、等の部品変更・追加により、ロール状に巻いた種子シートを搭載でき、種子シートを掻き取りながら押し込んでいく湛水土中点播直播作業が可能である(図2)。
4.
水田での直播作業は代掻き2~3日後とし、移植と同様1~2cm程度の水深で、播種深度は4mmに設定する。播種後は落水出芽することで良好な苗立ちで、点播のため移植と同様の苗立ち姿が得られる。条播専用機との比較では500~550kg/10a程度の収量で差はなく(表1)、倒伏も認められない。種子シートを共同作業により作製して供給することにより、移植体系での総労働時間34.2時間(平成12年度産米生産費調査)のうち12%を占める育苗作業の省力化が期待できる。
成果の活用面・留意点 1.
湛水直播専用機を購入することなく、既存の乗用型田植機を用いて部品等の変更・追加により湛水直播を行うことができる。
2.
種子シート成形装置は共同利用することとして新規導入する必要がある。また、ポリウレタンマットのシート素材、接着剤等は消耗品として購入する必要がある
図表1 216822-1.gif
図表2 216822-2.gif
図表3 216822-3.gif
カテゴリ 育苗 乾燥 経営管理 種子消毒 省力化 水田 水稲 播種

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