フマル酸の飼料添加による鶏体内でのサルモネラの抑制

タイトル フマル酸の飼料添加による鶏体内でのサルモネラの抑制
担当機関 三重科技セ
研究期間 1999~2001
研究担当者 伊藤英雄
今西禎雄
巽俊彰
発行年度 2002
要約 肉用鶏の初生時に競合排除製品を投与後、0.5~2%フマル酸添加飼料を給与することにより、盲腸内でのSalmonella Enteritidis(SE)の増殖を抑制し、SEを排出する個体数及びSE排菌量を減少させることができる。
キーワード 肉用鶏、競合排除製品、フマル酸、サルモネラ
背景・ねらい Salmonella Enteritidis(SE)汚染に起因するサルモネラ食中毒が1989年から急増し、その原因食材のひとつとして鶏卵・鶏肉が指摘されていることから、流通・消費段階での対策とともに、養鶏場においてSE汚染防止を可能とする飼養管理技術の確立が望まれている。そこで、サルモネラの増殖抑制に効果のあるといわれている競合排除(CE)製品の投与並びにフマル酸、酵母細胞壁、カテキンをそれぞれ飼料に添加することにより、鶏体内におけるサルモネラ抑制効果の検討を行う。
成果の内容・特徴
鶏体内におけるサルモネラ抑制に効果のある資材及びその複合効果を検討するため、CE製品投与の有無と飼料への1%フマル酸添加、0.5%酵母細胞壁添加、0.07%カテキン添加を実施し、1日齢の肉用鶏にSE2.5×105CFUをそ嚢内接種し、鶏体内及び排泄物におけるSEの消長を各区10羽を供試し、調査した。
1.
CE製品投与により、28日齢における盲腸内容物1g中のSE数は減少する。また、CE製品投与とフマル酸の飼料添加により、盲腸内容物中SEの検出率は最も低くなり、鶏体内におけるサルモネラ抑制効果が高い。(表1)。
2.
CE製品投与とフマル酸の飼料添加により、排出された盲腸便1g中のSE数は最も減少し、サルモネラ排菌抑制効果が高い(図1)。

次に最も効果の認められたフマル酸の最適添加濃度を検討するため、CE製品の投与後、フマル酸を0.5%、1%、2%、4%給与飼料に添加し、2日齢の肉用鶏にSEをそ嚢内接種し、鶏体内及び排泄物におけるSEの消長を各区10羽を供試し、調査した。
3.
CE製品投与とフマル酸添加濃度0.5%、1%、2%、4%で7日齢及び14日齢における盲腸内容物中のSE検出率が低下した。一方、4%フマル酸添加で21日齢における盲腸内容物中のSE菌数が増加したことから、CE製品投与とフマル酸の0.5~2%飼料添加は鶏体内におけるサルモネラ抑制に効果的である。(表2)。
4.
CE製品投与とフマル酸添加濃度0.5%、1%、2%で排出された盲腸便1g中のSE数が減少し、CE製品投与とフマル酸の0.5~2%飼料添加はサルモネラ排菌抑制に効果的である。(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
本成果は、肉用鶏のみならず採卵鶏の育成期におけるサルモネラ感染の低下に有効と考えられる。育成期は腸内細菌叢の形成が十分でないため、サルモネラに感染しやすいことから、サルモネラ防除に有効な手段である。
2.
フマル酸は鶏では飼料添加物として認められていないため、現在のところ、養鶏農場において使用することはできないが、サルモネラ対策の手段として開発する意義があると考えられる。
図表1 217066-1.gif
図表2 217066-2.gif
図表3 217066-3.gif
図表4 217066-4.gif
カテゴリ 病害虫 サルモネラ対策 飼育技術 防除

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