タイトル | 二重管式ヒートパイプを用いた培養土消毒装置 |
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担当機関 | 神奈川県農業総合研究所 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
植草秀敏 草野一敬 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 水平設置型の二重管式ヒートパイプを用いた土壌消毒装置により、育苗用・鉢物用培養土を低コストで安全に消毒できる。 |
キーワード | 二重管式ヒートパイプ、培養土消毒装置、低コスト |
背景・ねらい | 神奈川県内では、育苗用・鉢物用培養土の消毒に年間を通して、多くの臭化メチル剤が用いられている。2005年に全廃される臭化メチル剤の代替として、さらには化学合成農薬の使用を削減した技術の開発が緊急に求められている。そこで、安全・低コストで燃費効率のよい二重管式ヒートパイプを用いた土壌消毒装置及び消毒方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 水平設置型でアルコール系作動液を用い、熱伝導性・保温性にすぐれた二重管式ヒートパイプ(三和鋼器(株)パワーヒートパイプ)による育苗用・鉢物用培養土等の消毒装置(幅600mm×長さ1300mm×土の高さ400mm、長さ1100mmのヒートパイプ×3本を使用)を試作した(図1)。 2. 温湯ボイラー(出力29.1kW、燃料消費量3.5L/h、約80℃の温湯を供給)に土中温度60℃に設定したサーモスタットを取り付け、鉢物用培養土0.3m3(赤土:腐葉土:牛ふん堆肥=7:3:1)を用いて、7日間作動させると消毒装置内の土の温度は、深さ20cmの部分で50℃以上の高温が100時間以上維持される(表1)。 3. 具体的データを示すのに用いた小型試作機(培養土0.3m3)の場合、7日間の消毒期間に要するを灯油は11.7Lである。大型にした場合,装置A(幅1000mm×長さ1000mm×土の高さ1000mm、長さ1100mmのヒートパイプ×8本)では培養土(中心部分、深さ20cm)が50℃に到達するまでの2日間で消費する灯油は5.3L、装置B(幅1800mm×長さ900mm×土の高さ400mm、長さ1500mmのヒートパイプ×3本)では培養土が50℃に到達するまでの3日間で消費する灯油は8.0Lである。 4. 土壌病原菌であるトマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp. lycopersici)の汚染土を調整して、小型試作機で7日間の消毒を行い、フザリウム属菌の菌密度への影響を調べたところ表2に示すように、ほとんどの場所で菌密度は検出限界以下まで減少する。 5. キュウリ苗立枯病菌(Rhizoctonia solani)の汚染土を調整して、小型試作機で消毒を行い、キュウリ種子の発芽試験を行ったところ表3に示すように、病原菌は実用上問題ない程度に消毒される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 二重管式ヒートパイプの値段は1m:9000円、2m:12000円、3m:14000円、4m:18000円程度になり、大スケールに対して安価に対応ができる。また、スケールアップに際し同規模のボイラーで対応が可能である。 2. 消毒装置内のヒートパイプの設置状況や断熱材の使用等で温度上昇・維持状況は変動することに注意する。 3. 使用ボイラー等により、消毒に必要な時間や燃料消費は異なる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 育苗 きゅうり 立枯病 低コスト 土壌消毒 トマト 農薬 |