タイトル | 胚珠培養で作出したユキヤナギとシモツケの種間雑種 |
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担当機関 | 群馬農技セ |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
工藤暢宏 飯塚正英 木村康夫 |
発行年度 | 2003 |
要約 | ユキヤナギ(Spiraea thunbergii Sieb.ex Blume)を種子親に、シモツケ(S. japonicaL.fil.)を花粉親に用いて交配後、胚珠培養を行うと、桃色花色を持つ種間雑種が作出できる。 |
キーワード | 花き、ユキヤナギ、シモツケ、胚珠培養、種間雑種 |
背景・ねらい | 群馬県ではユキヤナギは枝物として栽培されているが、耐寒性、耐暑性があり、生育も強いので庭木などにも利用されている。しかし、花色は白花のみで、ほとんど品種改良されていない。そこで、ユキヤナギに同属シモツケの赤色の花色を導入するために、胚珠培養による種間雑種作出を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ♀ユキヤナギ×♂シモツケとの交配後5日以上の胚珠を1/2MS培地で培養すると発芽が認められる。交配後10日~24日間で20%以上が発芽し、最大で15.1%の個体が生育する(表1)。 2. 生育個体は葉形、葉の先端部と基部の形態、気孔の大きさは花粉親であるシモツケと類似し、気孔の周辺細胞の形態はユキヤナギと類似している。また、生育個体のDNAをRAPD分析すると、花粉親と同じ増幅断片が得られ(図1)、この個体が両種の種間雑種であると確認できる。 3. 開花した種間雑種はいずれも同様な生育を示し、開花期は4~5月である。花序はシモツケに類似し、前年枝の葉腋から伸びた短枝の先端に散房状に着生する。1花序当たりの花数が14~22と多い(図2)。 4. 花弁の色は桃色で両親の中間花色を示す。桃色の発色は花弁の両側にあり、開花後も桃色を保つ(表2、図2)。 5. 花弁の形はユキヤナギに類似し、広倒卵形である。萼片、花弁、雌ずいの数は5個である。雄ずいの数は24~28個で、両親の中間を示す(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. シモツケ属の新しいタイプの花木の育種素材として利用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 育種 耐寒性 耐暑性 品種改良 |