タイトル | 重粘土転換畑における大豆の湿害回避技術 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 1997~2003 |
研究担当者 |
細川 寿 松崎守夫 高橋智紀 塩谷幸治 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 重粘土転換畑において、改良型アップカットロータリにより耕うんと同時に畝立て播種を行うか、慣行の播種作業時に被覆尿素を施用することにより、大豆の湿害を回避することができる。畝立て栽培を行うと7~20%程度収量が増加し、被覆尿素の100日タイプを施用すると約10%収量が増加する。 |
キーワード | 重粘土転換畑、ダイズ、耕うん同時畝立、被覆尿素、湿害、アップカット |
背景・ねらい | 転換畑で大豆を栽培する場合、北陸地域では重粘土が広く分布しているため、排水不良などにより湿害が問題となっている。とくに、初期の湿害による生育停滞は、生育後期にまで影響するため、生育初期から湿害を回避することが重要である。 そこで、畝立て栽培や被覆尿素施用等により、湿害を回避するシステムを開発するとともに、大豆に及ぼす効果を明らかにし経営的な評価を加える。 |
成果の内容・特徴 | 1. 重粘土転換畑で、大豆の耕うん同時畝立て播種や播種同時被覆尿素(100日タイプ)施用により、湿害の回避または生育障害の軽減を図ることができる。 2. 畝立ては、耕うん爪取付方式をホルダー型に改良したアップカットロータリの爪配列を、畝中心に土が移動するように取り付けることにより、1工程で耕うんと同時に75cm×2畝を作成することができる(図1)。作業速度は、ダウンカットの0.1m/s以下に比べ、0.2~0.4m/sであり、作業能率は約1ha/日である。5月第6半旬から6月上旬までに1台の作業機で播種できる面積は、降雨リスクを考慮して約10ha程度である。 3. 畝立てを行うことにより、畝表面からの地下水位が低下し、土壌水分の低下(図2)と土中酸素濃度が高く維持され、特に湿害を受けやすい梅雨時に、分枝の発生が増加し、莢数が増えて粒が大きくなり、大豆収量が7~20%程度増加する(表1)。 4. 経営的に畝立て作業機が導入できない場合で、排水が不良で湿害の発生しやすい圃場では、基肥として慣行の速効性肥料に加えて被覆尿素(100日タイプ)を施用すると、大豆収量は約10%増加する(表2)。被覆尿素の施用量は、窒素で全面10kgN/10a、条5kgN/10a程度である。 5. 2条の耕うん同時畝立て作業機は、本体価格が約50万円(耐用年数5年)、播種機は既存のものを利用し、大豆収量が約10%(20kg/10a=約4,000円相当)増収すると、作業機の導入経費を回収できる最小大豆作面積は約2.5haである。被覆尿素の場合は、肥料代金(約2,200円/10a)の投入に対し、収量が約10%(20kg/10a)増加すると、10a当たり約1,800円の収益増が見込める。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本試験内容は、新潟県上越市の重粘土転換畑(LiC)1~2年目圃場のデータである。 2. 畝立てと被覆尿素施用を同時に行っても相乗的な効果は期待できない。 3. 施肥方法は、基肥2種類用のホッパを播種機に取り付けて施用できるが、あらかじめ2種類を混合して1つのホッパに投入しても施用できる。 4. 耕うん同時畝立て作業機の試用、入手等については上記担当まで連絡をお願いしたい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 経営管理 湿害 施肥 大豆 播種 |