タイトル | 物理的防除体系によるコマツナ栽培 |
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担当機関 | 東京農試 |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
岩本千絵 沼沢健一 竹内浩二 野口 貴 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 施設栽培コマツナにおいて、UVカットフィルム、防虫ネットおよび太陽熱処理を用いた物理的防除体系によって虫害を大幅に軽減できる。品種により軟弱徒長となる傾向があるが、品種選定により品質の確保は可能である。 |
キーワード | コマツナ、UVカットフィルム、防虫ネット、太陽熱処理、品種比較 |
背景・ねらい | これまでに、農薬だけに頼らないコマツナ害虫の防除対策として、機能性園芸資材等の利用による各種の物理的防除法の効果について明らかにした。そこで、UVカットフィルム、防虫ネット、太陽熱処理を組み合わせた物理的防除体系の害虫防除効果と収量・品質への影響を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. UVカットフィルムおよび防虫ネット(目合い0.8mm)のハウス被覆、播種床のビニル被覆による太陽熱処理を組み合わせて、コマツナ栽培における物理的な害虫防除のモデル(以下、防除体系と略す)を組立てた(図1)。 2. 防除体系のハウス内気温は慣行よりも低かった(図2)。これは、防除体系において、ネットの目合い(防除体系0.8mm、慣行1.0mm)が細かいことによるハウス内の気温上昇よりも被覆フィルムの透光率(防除体系71%、慣行79%)が低いことによる気温低下の方が大きかったためである。 3. UV強度の低い防除体系下(図2)では、下胚軸、節間および草丈が徒長し株重が減少する傾向にある。下胚軸や節間の徒長は株元の曲がりを招くことから結束荷姿に悪影響する。軟弱徒長の程度は品種によって異なり、本試験からは、「すてきだ菜、江戸の小町、あやか、なっちゃん、スーちゃん」がUVカットフィルム下の栽培でも下胚軸と節間の徒長が少なく、有望な品種である(図3)。 4. 防除体系では、殺虫剤を散布した慣行栽培よりも虫害が大幅に減少する。特にアザミウマ類、ハモグリバエ類の防除効果は顕著である(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本防除体系下におけるコマツナの生育が軟弱徒長する傾向に対しては、品種選定および灌水・換気管理で対応する。 2. 害虫防除効果は、作期を区切られる単棟ハウスでは高いが、作期が重複または連続する連棟ハウスでは低くなる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 カイコ 害虫 機能性 こまつな 施設栽培 農薬 播種 品種 防除 |