タイトル | 生分解性マルチの早出しスイートコーン栽培への利用 |
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担当機関 | 企画環境部 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
赤池一彦 加藤成二 山崎修平 對木啓介 五味亜矢子 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 生分解性マルチは展張作業性、耐久性で実用レベルを有し、収量性や収穫期はポリエチレンマルチと同等である。鋤き込んだマルチが後作水稲の移植に支障をきたすことはなく、一度に大量に鋤き込んでも、土壌の化学性などに大きな変化を及ぼすことはない。 |
キーワード | |
背景・ねらい | 山梨県の早出しスイートコーン栽培は水田での作付けが大半であり、後作は水稲である。そのため、収穫後のマルチ除去作業の負担を減らし、直ちに水稲の移植を行いたい。一方、スイートコーン栽培で用いるポリエチレンマルチの年間使用量は推定32,900本(263t)であり、産業廃棄物の処理量削減も課題である。そこで、本県で作付面積が最も多い一重トンネル栽培の作型を対象に、生分解性マルチの実用性を評価する。 |
成果の内容・特徴 | 1. スイートコーン栽培に使用できる生分解性マルチには、主原材料がPBS(ポリブチレンサクシネート)やPCL(ポリカプロラクトン)の製品がある(表1)。 2. 上記の生分解性マルチは、展張作業性、耐久性の点で実用レベルを有し、鋤き込み作業性も良好である。また、代かき後の水面にマルチの破片が浮遊することは全くなく、水稲の移植に支障はない(表1、図1)。 3. 上記の生分解性マルチを用いてスイートコーンの主要2品種を栽培した場合、生育、収量、先端不稔、収穫期のいずれも、ポリエチレンマルチ使用時と同等である(表2)。 4. 生分解性マルチはポリエチレンマルチと比べ、トンネル除去後の地温が1℃前後低く推移したが、穂重や収穫期に影響はない(データ略、表2)。 5. 生分解性マルチを一度に大量(50作分で73.5kg/a)に土中に鋤き込んでも、後作野菜の収量性(データ略)や土壌の化学性に大きな変化を及ぼすことはなく、トビムシなどの土壌動物個体数は増加する(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 生分解性マルチの色は半透明(乳白色)と黒がある。 2. 生分解性マルチには分解速度の早いタイプと遅いタイプの2種類あるが、早出しスイートコーン栽培の作型では、分解速度の速いタイプを用いる。 3. スイートコーン用マルチの規格は幅95cm、株間26cmまたは27cmの2条穴あきで、穴の直径は45mmである。マルチの厚さは0.018~0.02mmである。 4. 2004年現在の価格は、1本当たり約3,500円(半透明)~3,700円(黒)/200mである。 5. 生分解性マルチは長期保存ができないため、当年使用分だけを購入し在庫を残さない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 水田 水稲 品種 マルチ除去 |