タイトル | 早生・安定多収・良食味の陸稲新品種候補「関東糯197号」 |
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担当機関 | 茨城農総セ |
研究期間 | 1993~2004 |
研究担当者 |
石井卓朗 岡本和之 眞部徹 岡野克紀 平澤秀雄 平山正賢(作物研) 宮本勝 根本博(作物研) |
発行年度 | 2004 |
要約 | 陸稲「関東糯197号」は温暖地東部では早生の早に属する糯系統である。耐干性・耐冷性に優れ、安定して多収性を示す。餅食味は滑らかさに優れ、良食味である。茨城県で奨励品種に採用される。 |
キーワード | リクトウ、関東糯197号、糯、早生、安定多収、良食味、茨城県 |
背景・ねらい | 陸稲栽培では、後作として野菜が作付される場合が多く、また、干ばつを避けるためにも早生品種が望まれる。しかし、現在奨励普及されている極早生、早生品種の「トヨハタモチ」、「キヨハタモチ」は収量性が低く、餅食味も不十分である。このため、早生の安定多収・良食味品種の育成が要望されている。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「関東糯197号」は、早生・良食味品種の育成を目的として、1993年に「関東糯166号」を母、「関東糯166号」/「関東糯168号(ゆめのはたもち)」のF1を父として交配を行い、その後代より育成した糯系統である。 2. 出穂期は、「トヨハタモチ」より1日遅く、「キヨハタモチ」よりも4日早い。成熟期は「トヨハタモチ」よりも6日遅く、「キヨハタモチ」よりも5日早い。温暖地東部では、“早生の早”に属する。草型は、“やや短稈・中間型”である(表1)。 3. 収量性は毎年次安定して、「キヨハタモチ」よりも約20%、「トヨハタモチ」よりも約30%多収である(表1)。 4. 耐干性は「トヨハタモチ」よりもやや強く、「キヨハタモチ」並の“強”である。耐冷性は「トヨハタモチ」、「キヨハタモチ」よりも強く“やや強”である(表1)。 5. 餅食味は滑らかさに優れ、総合評価では「トヨハタモチ」、「キヨハタモチ」に優り、“上中”である(表1)。 6. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“+”と推定される。圃場抵抗性は葉いもちが「キヨハタモチ」、「トヨハタモチ」並の“強”、穂いもちは「トヨハタモチ」よりもやや強く「キヨハタモチ」並の“極強”である(表1)。 7. 耐倒伏性および穂発芽性は、それぞれ「キヨハタモチ」、「トヨハタモチ」並の“強”および“難”である(表1)。 8. 千粒重は「キヨハタモチ」よりも約3g大きく、玄米品質は、「キヨハタモチ」、「トヨハタモチ」よりも優れる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 茨城県で奨励品種に採用され、早生品種「キヨハタモチ」に替えて普及が見込まれる。普及見込み面積は約400haである。 2. 穂発芽性は“難”であるが、刈り遅れに注意し適期収穫に努める。 3. 耐干性は“強”であるが、過度の干ばつ時には適宜かん水を行う。 |
図表1 | |
カテゴリ | いもち病 新品種 多収性 多収良食味 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 陸稲 良食味 |