タイトル | 温暖地におけるサトウキビ種間雑種系統の乾物生産力 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
山田哲也 杉浦誠 勝田眞澄 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 温暖地の畑圃場および水田圃場において、サトウキビ種間雑種系統は栽培品種に比べて高い乾物生産力を示す。湛水田では乾物収量が減少するが、植付け1ヵ月後から落水することで草丈および茎数の減少は軽減され、畑圃場の8割程度の乾物生産が可能である。 |
キーワード | サトウキビ、種間雑種系統、乾物収量、温暖地、水田、畑、耐湿性 |
背景・ねらい | 九州沖縄農業研究センターで育成されたサトウキビと近縁野生種(Saccharum spontaneumおよびErianthus spp.)やソルガムとの種間雑種系統は、暖地の畑圃場において極多収性を示すことが確認されている。これらの系統について、温暖地の畑圃場および水田圃場における乾物生産特性を評価し、関東地方以南の水田転換畑において高い乾物生産性を有するバイオエネルギー生産用作物としての可能性を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. サトウキビ種間雑種系統は、温暖地の畑圃場および水田圃場において栽培品種に比べて高い乾物生産力を示す(図1)。 2. 温暖地におけるサトウキビ種間雑種系統の最大乾物収量は、畑では4t/10a、植付け1ヵ月後から落水した水田では3t/10a程度である(図1)。 3. 湛水田では畑と比較して乾物収量が減少し、その減少割合は系統により異なる。しかし、落水した場合は畑の8割程度の乾物収量を得ることが可能である(図2)。 4. 草丈は乾物収量と高い正の相関関係を示す。単位面積当たりの茎数は、畑では乾物収量との有意な相関関係は認められないが、水田では乾物収量と正の相関関係が認められる(図3)。 5. 落水した水田では、湛水田と比べると草丈と茎数が増加し、乾物収量が高くなる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本情報は、茨城県つくば市において温室内で約1ヶ月育苗した苗を、5月中旬に移植し、同年11月下旬に収穫調査を実施した結果であり、乾物収量は栽培地域ごとに評価する必要がある。 2. 高い乾物生産力を得るには、遅霜の恐れがなくなった時期に育苗した苗を圃場へ移植し、降霜期の初めに収穫することで、生育期間をできるだけ長く確保する必要がある。 3. 供試系統の乾物生産力は、畑ではソルゴー型ソルガム(天高;4.5 t/10a)より低いが、落水した水田では湛水田における飼料イネ(クサホナミ;1.9 t/10a)を上回る。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 育苗 さとうきび 水田 ソルガム 耐湿性 多収性 品種 |