タイトル | シソ科ハーブ類栽培で発生する害虫種と防除薬剤の登録データの取得 |
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担当機関 | 東京農総研 |
研究期間 | 2004~2005 |
研究担当者 |
竹内浩二 橋本良子 伊藤 綾 |
発行年度 | 2005 |
要約 | シソ科ハーブ類に19種の害虫の発生を確認した。このうち、ワタアブラムシ、クロゲハナアザミウマ、ナミハダニ(赤色型)など7種は激しい被害を起こす。また、アセタミプリド水溶剤はシソ科ハーブ類のアブラムシ類に対し有効で、残留値は処理21日後までに登録保留基準値の1/2以下になる。 |
キーワード | ハーブ、害虫、殺虫剤、農薬登録、農薬残留値 |
背景・ねらい | 農薬取締法改正に伴い、東京都はマイナー作物等登録推進のためハーブ類の主査を担い、登録に必要な効果・残留性試験を進めることとなった。シソ科ハーブ類には化学合成農薬の登録薬剤がほとんど無いため、これらに発生する害虫種と被害実態を明らかにするとともに、ハッカなど4種ハーブのアブラムシに対しアセタミプリド水溶剤(経過措置承認)の農薬登録データを収集する。 |
成果の内容・特徴 | 1. シソ科ハーブ類栽培で害虫19種の発生と被害実態を確認した(表1)。 (1)ハダニ類:ナミハダニ(赤色型)の発生が多く、時に巣網を作るほど多発し、枯死する場合も見られる。 (2)アブラムシ類:春および秋期にモモアカアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシが、夏期にはワタアブラムシの発生が多い。 (3)アザミウマ類:ネギアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、クロゲハナアザミウマの発生が見られ、特にバジルではクロゲハナアザミウマの吸汁害が多い。 (4)コナジラミ類:オンシツコナジラミが高温期を除いて発生し、ハッカでは排出物により、すす病など汚れの被害も発生する。 (5)チョウ目類:ベニフキノメイガがバジル、ハッカなどに多く発生する。また、ヨトウガ、ハスモンヨトウ幼虫による被害も大きい。 2. ハッカ、バジル、レモンバーム、セージ、タイムのアブラムシ防除に対して、アセタミプリド水溶剤4,000および8,000倍希釈は効果が高く、薬害も認められない(表2)。 3. アセタミプリドの第二葉菜類における登録保留基準値は5ppmであり、ハッカ、バジル、レモンバーム、セージを試料としたアセタミプリド分析の精度確認の結果、定量限界値を0.5ppmとした。また、10ppmおよび定量限界濃度(0.5ppm)の添加回収率は(農薬の登録申請に係る試験の条件を満たす)70~120%の範囲に入っていた(表3)。 4. アセタミプリドの作物残留について、ハッカでは8,000倍希釈で処理7日経過後、バジルでは同じく21日後、レモンバームおよびセージでは4,000倍希釈で14日後には登録保留基準値の概ね1/2以下となった(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. シソ科ハーブ類の発生害虫を正確に診断でき、適切な防除指導が可能となる。 2. 農薬登録においてシソ科葉菜類(仮)としての作物群登録(グループ化)の新設を検討する際の残留性データとして活用できる。 3. アセタミプリド水溶剤は2005年11月16日付けでシソ科ハーブ類4種(ハッカ、バジル、レモンバーム、セージ)に登録拡大された。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 しそ セージ タイム ねぎ 農薬 バジル ばれいしょ ふき 防除 薬剤 レモンバーム わた |