タイトル | 子宮角深部挿入用カテーテルを用いたトウキョウX凍結精液による繁殖成績 |
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担当機関 | 東京農総研 |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
太田久由 川手秀一 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 子宮角深部挿入用カテーテルを用いた豚凍結精液の繁殖成績は、注入精子数により、産子数に差がでる傾向にある。また凍結精液を利用した種豚生産により、トウキョウX維持群の近交係数上昇抑制が可能になる。 |
キーワード | 子宮角深部挿入用カテーテル、豚凍結精液、トウキョウX、近交係数 |
背景・ねらい | 合成系統豚トウキョウXは造成後10年以上が経過し、近交係数上昇による繁殖・育成成績等の低下が懸念されている。そのため今後は近交係数上昇を抑え、凍結精液を用いた種豚生産を行い、経済形質の損失を抑える必要がある。今回、子宮角深部挿入用カテーテル(ファイア・フレックス)を用いた凍結精液授精試験を実施し、受胎率、一腹あたり産子数および生時体重を調査する。また、雄25頭、雌50頭の種豚集団において、一定条件(雄25頭の血統を次世代へすべて残し、かつ生まれてくる産子の平均近交係数が最も低くなるような、雄1頭に対する雌2頭の固定交配ペアを決定する。産子は各世代雄25頭、雌50頭を選抜する)で種豚生産を行った場合の近交係数推移を、現世代の凍結精液を用いた場合と、通常交配を継続した場合でそれぞれ算出し、凍結精液利用の効果を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 凍結精液の作製・融解は豚凍結精液利用技術マニュアルに従い、ストロー法で行った。凍結精液は融解30分後の運動率が30%以上のものを用いた。試験区1は1回あたりの注入精子数100億(注入量70ml)、試験区2は50億(注入量35ml)とし、各試験区10頭の発情雌豚に2回授精した。授精は朝夕に雌豚の発情を観察し、発情開始発見から24時間後に1回目を、2回目はその8時間後または16時間後に行った。ファイア・フレックスは50cmのスパイラル型外筒と150cmの深部挿入用カテーテルの内筒で構成される(写真1)。 2. 受胎率は試験区1で60.0%、試験区2で70.0%であり、自然交配受胎率63.7%とほぼ同等である(表1)。 3. 一腹あたりの生存数および死産数は試験区1で7.8頭、1.7頭、試験区2で6.4頭、1.3頭である。これは自然交配の7.8頭、1.4頭と比較して、試験区1でほとんど差が見られないが、注入精子数の少ない試験区2で生存数が1.4頭少ない傾向にある(表1)。 4. 生時体重は試験区1で1.38kg、試験区2で1.43kgと、自然交配の1.39kgとほぼ同等である(表1)。 5. 種豚生産に凍結精液を用いた場合、近交係数は微増にとどまるが、自然交配の場合は直線的に増加し、G7世代での差は3.57ポイントとなる(図1:G7は現世代から7世代目。近交係数演算プログラムCoeFRを用いた予測による)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 精子注入数により一腹あたり生存数に差がでることを考慮し、種豚生産を行う必要がある。 2. 現存種雄豚から定期的に採精し、凍結精液を保管する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 繁殖性改善 豚 |