ダイズちりめんじわ発生条件の解明と石灰または微量要素施肥によるしわ粒発生率の軽減

タイトル ダイズちりめんじわ発生条件の解明と石灰または微量要素施肥によるしわ粒発生率の軽減
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2004~2007
研究担当者 関口哲生
亀川健一
小原洋
新良力也
大野智史
田渕公清
発行年度 2007
要約 ダイズ「エンレイ」のちりめんじわ発生率は、子実肥大盛期の切葉処理で増加する。また、石灰、三要素肥料を無施用で連作栽培すると成熟期の早期化と収量低下に伴い高まるが、石灰施用により軽減される。また、潜在的な微量要素欠乏土壌では、微量要素複合肥料の施用によりしわ粒発生率は軽減される。
キーワード ダイズ、ちりめんじわ、切葉、石灰、微量要素複合肥料
背景・ねらい 北陸産ダイズは上位等級比率が低く、主な3等格下げ理由はしわ粒となっており、しわ粒の発生を軽減することは喫緊の課題である。これまでにちりめんじわは、子実肥大盛期前後の作物体の老化が関係し、施肥等の生育後半の栄養状態の改善が有効であることが報告されている。しかしながら、しわ粒の発生条件や軽減化のための対策技術については不明な点が多い。そこで、ちりめんじわについて、しわ粒を多発させる条件及び軽減させる方策を明らかにすることを目的とする。

成果の内容・特徴 1.
生育時期別に切葉処理(ソースを制限)を行うと、子実肥大盛期を中心にちりめんじわ発生率は高まる。その傾向は石灰、三要素肥料とも無施用区で顕著である(図1)。
2.
石灰、三要素肥料とも無施用で連作栽培すると、落葉期、成熟期が早期化し、子実収量が低下し、ちりめんじわ発生率は増加する(表1、図1)。
3.
石灰、三要素肥料とも無施用で連作栽培し酸性化した土壌に、石灰のみ、または石灰と三要素肥料を施用すると、成熟期が遅延し、ちりめんじわ発生率は、無施用の31 %から石灰のみでは14 %、石灰と三要素の施用では12 %に低下する。したがって、しわ粒発生率の軽減は石灰施用による効果と考えられる(表2)。
4.
ホウ素等の微量要素が潜在的に欠乏している可能性がある土壌でも、ちりめんじわ発生率は高まる傾向が認められる。微量要素複合肥料の施用により子実中のホウ素含量は高まり、ちりめんじわ発生率が減少することが認められる(表3)。

成果の活用面・留意点 1.
ダイズ品種は「エンレイ」である。
2.
潜在的欠乏とは欠乏症状は確認できないが、施肥により収量、品質が向上する状態をいう。
3.
微量要素は至適濃度範囲が狭いため、現場での施肥量は土壌診断に基づいて考慮する。

図表1 218756-1.gif
図表2 218756-2.gif
図表3 218756-3.gif
図表4 218756-4.gif
カテゴリ 肥料 しわ粒 施肥 大豆 土壌診断 品種

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