タイトル | 晩生の稲発酵粗飼料向き新品種「クサノホシ」 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 1987~2001 |
研究担当者 |
岡本正弘 吉田泰二 根本博 坂井真 篠田治躬 春原嘉弘 松下景 星野孝文 石井卓朗 前田英郎 中川宣興 飯田修一 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 水稲「クサノホシ」は、晩生・強稈で茎葉及び子実収量の高い稲発酵粗飼料に向いた品種である。いもち病、縞葉枯病及び白葉枯病に対して複合抵抗性を示し、乾田直播栽培にも適する。 |
キーワード | 水稲、クサノホシ、稲発酵粗飼料、晩生、複合抵抗性 |
背景・ねらい | 我が国の畜産においては飼料自給率の低下が問題になっており、また水田作においては米の生産調整に対応して稲以外の作物に転作できない耕作放棄田の増加が問題となっており、水田で生産可能な自給飼料作物として飼料イネが期待されている。そこで、各種病虫害に抵抗性を有し、直播栽培にも適応して減農薬・低コスト栽培可能な稲発酵粗飼料(イネWCS)向き専用品種を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「クサノホシ」は昭和62年に中国農業試験場(現近畿中国四国農業研究センター)において、晩生、多収の稲発酵粗飼料向き品種の育成を目的として、多収系統「多収系175」を母とし、多収品種の「アケノホシ」を父として交配した後代から育成された品種である。 2. 出穂期は「ホシユタカ」よりやや早く、育成地では“晩生”に属する粳種である。「日本晴」に比べて稈長、穂長ともにやや長く、穂数は少ない“極穂重型”である。 3. 耐倒伏性は「日本晴」並かやや強く、移植栽培では「日本晴」に比べて、全重で約20%、玄米重で約25%多収である。また、乾田直播栽培においても多収である。可消化養分総量(TDN)が既存品種並であることから、TDN収量は既存品種に比べて高い。 4. いもち病抵抗性遺伝子“Pita-2”と“Pib”を持つと推定される。縞葉枯病には“抵抗性”で、白葉枯病抵抗性は“強”である。ニカメイチュウによる被害は「ホシユタカ」より多い。穂発芽性は“難”である。 5. 玄米品質と食味は劣り、食用には適さない(以上表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 「クサノホシ」は、関東以西の地域に広く適応する。 2. 飼料としての品質低下を防ぐため、黄熟期を中心とした適期収穫に努める。 3. いもち病抵抗性は、変異菌の出現により変化することがあるので留意する。 4. ニカメイチュウの発生がみられた場合には、適期防除に努める。 5. 耐倒伏性は比較的強いが、極端な多肥条件は避ける。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 いもち病 乾田直播 直播栽培 縞葉枯病 飼料作物 新品種 水田 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 低コスト栽培 農薬 品種 防除 良食味 |