タイトル | 花きにおける5つの新たな菌類病 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
佐藤豊三(農業生物資源研究所) 笹谷孝英 小金澤碩城 森 充隆(香川県農業試験場) 富岡啓介 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 花きの新たな菌類病であるカランコエ斑点病、ネメシア炭疽病、ラナンキュラス株枯病、チェリーペパー疫病およびベルゲランツス腐敗病を命名・記録したことにより、各病害がその病徴と病原菌の情報に基づいて的確に診断できる。 |
キーワード | 新病害、診断、花き、菌類病 |
背景・ねらい | 近年、農作物の多品目化や栽培法の変化に伴い、生育不良や収量低下の事例が多く報告され、中でも病原微生物による花きの生育阻害頻度が高い傾向にある。本研究では、花きに新たに発生する病害の原因を解明し、その診断法構築の基礎知見を得る。 |
成果の内容・特徴 | 1. カランコエ(ベンケイソウ科)、ネメシア(ゴマノハグサ科)、ラナンキュラス(キンポウゲ科)、チェリーペパー(ナス科)およびベルゲランツス(ツルナ科)の生育を阻害する新たな菌類病の病徴と病原菌を明らかにし、それぞれを斑点病、炭疽病、株枯病、疫病および腐敗病と命名・記録したことにより、各病害が的確に診断できる。 2. カランコエ斑点病:葉に直径1~5mmの褐色病斑が現れる。病斑は次第に拡大・融合し、病斑の多い下位葉を中心に黄化・枯死・脱落が進行する(図1-A)。病原は不完全菌類のStemphylium lycopersici。 3. ネメシア炭疽病:茎葉に不整形水浸状斑や直径1~3mmの退緑斑が現れる。病斑は拡大・融合・褐変し、やがて植物全体が萎凋・腐敗・枯死する(図1-B)。病原は不完全菌類のColletotrichum fuscum。 4. ラナンキュラス株枯病:地際葉柄が褐変し、下葉から萎凋・葉枯が進んで植物全体が 倒伏・枯死する(図1-C)。病原は不完全菌類のPlectosporium tabacinum(syn. Fusarium tabacinum, Microdochium tabacinum)。 5. チェリーペパー疫病:根および地際茎が暗褐色に腐敗する。病斑が茎の上方に向かって拡大するとともに落葉が進み、植物全体が立ち枯れる(図1-D)。病原は卵菌類のPhytophthora capsici。 6. ベルゲランツス腐敗病:茎葉に不整形水浸状斑が現れる。病斑は次第に拡大し、やがて植物全体が腐敗・枯死する(図1-E)。病原は卵菌類のPythium myriotylum。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 病原菌を明らかにしたことにより、同種の菌による他の宿主での病害の防除法を効果的に適用できる可能性がある。 2. 分離した病原菌株は今後の診断時の標準菌株としてのみならず、各菌種の寄生性分化等の基礎研究に活用できる。 3. 5つの病害は1996~2000年に香川県内で確認したものである。カランコエ斑点病は関東地域でも発生が認められている。 |
図表1 | |
カテゴリ | 病害虫 カランコエ 炭疽病 つるな なす ぶどう 防除 ラナンキュラス |