コマツナ単葉を用いたオガクズ牛糞堆肥の簡易・迅速腐熱度判定法

タイトル コマツナ単葉を用いたオガクズ牛糞堆肥の簡易・迅速腐熱度判定法
担当機関 (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2001~2003
研究担当者 池田順一
須賀有子
福永亜矢子
堀 兼明
発行年度 2001
要約 特別な装置を必要としない簡易迅速な堆肥腐熟度判定法として、堆肥の水抽出液によるコマツナ単葉の新鮮重の減少を指標とした方法を開発した。
キーワード オガクズ牛糞堆肥、腐熟度判定、単葉検定、吸水阻害、萎れ
背景・ねらい 近年、化学肥料の代わりに有機質肥料を積極的に使用する有機栽培が盛んになってきている。有機質肥料の中でも家畜糞堆肥は主要なものの一つであるが、品質の変動が大きく、腐熟度が一定しないため腐熟の不十分な堆肥が生産されることもある。未熟な堆肥の施用は、発芽障害や生育障害を引き起こすので、堆肥の腐熟度判定は重要である。そこで、特別な装置を必要としない迅速な腐熟度判定法として、周年入手可能なコマツナを用い、堆肥の水抽出液によるコマツナ単葉の新鮮重減少率を指標とした方法を開発した。
成果の内容・特徴 1.
堆肥と水を1:5に混合し、10分間振盪後、3000rpmで10分間遠心分離した抽出液上清(抽出原液)の1/4倍液に、葉柄基部で切断したコマツナの若く光沢がある葉を1時間吸水させた後、その切り口を浸し、2時間後の新鮮重の減少を比較する方法である(図1、2)。
2.
抽出原液に浸したコマツナ葉の新鮮重の経時変化から、新鮮重が安定する2時間後が比較に適当と考えられる(図2)。 
3.
腐熟期間の異なる5つの堆肥について1/4倍抽出原液に浸したコマツナ葉の2時間後の新鮮重減少率を比較すると、発酵開始直後から2ヶ月までの腐熟期間の短い堆肥は著しく新鮮重を減少させるが、発酵期間が3ヶ月と1年の堆肥の抽出液では新鮮重の減少率は、水に浸した対照とほぼ同じである(図3)。これより対照より有意に新鮮重が減少するものを未熟と見なしうると考えられる。
4.
新鮮重の減少は、堆肥のpHとは無関係である。ECは腐熟期間が長いほど高くなっており、新鮮重減少の原因とは考えられない。アンモニア態窒素含有率およびC/N比は腐熟期間が長くなるに従い減少して腐熟の進行を示しているが、これは新鮮重減少率が小さくなる傾向と一致する(表1)。
5.
新鮮重の減少を測定するのが正確だが、萎れの程度でも判定できる(図1)。
成果の活用面・留意点 1.
コマツナ単葉の新鮮重の減少率を指標とした簡易迅速な堆肥腐熟度判定法である。対象は、オガクズ牛糞堆肥で、コマツナ品種は楽天であるが、抽出液の希釈倍率や測定時間等の条件を検討すれば対象堆肥の種類拡大および試験する植物種や手法の改変も可能と考えられる。
2.
使用する葉は、なるべく葉齢を揃える。
3.
葉の新鮮重の減少は、堆肥抽出液による吸水阻害のためと考えられるが、吸水阻害の機構、原因物質については不明。
4.
新鮮重の減少率は、温度・湿度等の条件や使った葉により毎回異なるので、水に差した対照が必要。
図表1 218997-1.jpg
図表2 218997-2.gif
図表3 218997-3.gif
図表4 218997-4.gif
カテゴリ 有機栽培 土づくり 肥料 こまつな 品種

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