タイトル |
カキ・カンキツ園におけるミカンキイロアザミウマの発生動態 |
担当機関 |
和歌山農水総技センター果園試紀北分場 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
山内 勧
小山昌志
森下正彦
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発行年度 |
2001 |
要約 |
ミカンキイロアザミウマは、カキやカンキツ園内の雑草で越冬でき、春~秋には園内の多様な雑草で増殖し、除草後は隣接園に移動分散を繰り返しながら個体群を維持している。
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キーワード |
ミカンキイロアザミウマ、カキ、カンキツ、雑草、天敵
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背景・ねらい |
カキでは、「刀根早生」の果実の着色が始まる9月上旬からミカンキイロアザミウマが果実を加害する。そこで、耕種的防除などの対策のためにカキおよび隣接するカンキツ園での発生動態を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- ミカンキイロアザミウマはカキ園および隣接するカンキツ園のハコベ、ホトケノザなどの葉で越冬し、5月以降に雑草の繁茂とともに密度が増加する。夏期にはエノコログサ、エノキグサ、ワルナスビなどで密度が高い(表1)。
- カキ園に設置された粘着トラップでは、2年生雑草が繁茂する6月と1年生雑草が繁茂する7~8月に誘殺ピークがみられる(図1)。本種は多様な雑草で増殖できるので、発生量は雑草の繁茂とともに増加し、除草によって減少する。
- 除草されたカキ園で誘殺された成虫は、雑草が繁茂した隣接カンキツ園から移動した個体と考えられる(図2)。このように、ミカンキイロアザミウマは果樹栽培地域において除草時期の異なる園を利用しながら個体群を維持している。
- ミカンキイロアザミウマのエノコログサにおける生息密度は、休耕地や路傍に比べて果樹園で高いが、捕食性天敵であるハナカメムシ類は逆に果樹園で少ない(表2)。果樹園における殺虫剤散布が天敵の飛来・増殖を抑制し、果樹園におけるミカンキイロアザミウマの増殖を助長すると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 成虫は「刀根早生」が着色を始める9月上旬に果実に飛来・加害するので、生息場所をなくすために着色期までに園内を除草する。
- 発生の多い地域では園外からの飛来も考えられるので、「刀根早生」の着色直前に薬剤散布が必要である。
- シルバーマルチは他のアザミウマと同様にミカンキイロアザミウマの飛来を忌避するので、その敷設は被害防止に有効である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
かき
カメムシ
雑草
除草
なす
防除
薬剤
その他のかんきつ
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