タイトル |
水路の水質浄化用の植物の選定とその簡易な利用法 |
担当機関 |
大阪農技セ |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
形山順二
北野幸恵
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発行年度 |
2001 |
要約 |
農業用水路に21種類の水生植物などを植栽し、収穫期まで栽培できた9種類の植物体の窒素をケルダール法により分析した結果、シュロガヤツリ、パピルスが用水中の窒素を多量に吸収していて、これらの植物体は、工芸品の材料として利用できる。
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キーワード |
水質浄化、水生植物、パピルス、ケルダール法の窒素、工芸品
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成果の内容・特徴 |
- 流域の自治体、自治会、水質保全のボランティア団体、小学校の協力により植物の種類の選定、植えつけ(厚み0.1m、幅0.5m、長さ80mのヤシガラマットに十字の切れ込みを有する)、生育期間中の観察・手入れ及び収穫がされる。
- 植栽用には21種類の植物が選定されたが、その中にはオクラ等水生植物でない植物が含まれている。そのような植物は植え付け後、短日数で枯れたので、水路栽培には適当でない。また、水生植物であってもマコモのように草丈が3mになるような大型の植物は夏期間中に倒れる、見栄えが良くない等の管理上の理由で、上部が刈り取られてしまい、秋の収穫期には9種類が収穫できる。
- 植物体の収量はシュロガヤツリ、ジュズダマ、パピルス、ポンテデリアの4種類が4,900g/m SIZE=-1>2 以上、ツルヨシ、ケナフ、キショウブの3種類が1,000g/m SIZE=-1>2 前後、イグサ、セセリが300g/m SIZE=-1>2 前後と最少である(表A)。
- 植物体中の窒素含有量は、セリが30㎎/g (風乾物)以上を示す。 草丈の高い種類では、植物体の地上部が高く、根は低い(表B)。
- 植物体の各部の窒素含有量はシュロガヤツリ、ジュズダマ、パピルスの茎が85~108g/m SIZE=-1>2 と多い(表C)。
- 植物体全体の窒素含有量は100g/m SIZE=-1>2 以上の窒素を含む種類がパピルス、シュロガヤツ リ、ジュズダマの3種類である(表D)。
- 植物体の利用法であるが、上記3種類の内、パピルスはほう葉と茎はパルプ化の後、手漉き和紙に加工できる。また、直線的な茎は大小のスダレや籠に編める。シュロガヤツリは和紙やスダレに加工できる。ジュズダマは実をお手玉などに加工できるが、大部分は廃棄される。
- 根は全種類植え付け用のヤシガラマットから抜き、一部を分析し、残りは廃棄する。
以上のことから、水質浄化の植物にはパピルス、シュロガヤツリが望ましいと思われる。
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成果の活用面・留意点 |
[成果の活用面・留意点 ]
- 植物による水質浄化にあたっては、地域の環境ボランティア団体の行事、あるいは学校の総合学習の試行時間やクラブ活動に取り入れられることが必要である。
- 水生植物の選定にあたってはその後の利用を含めて、大型の抽水性水草で、直線的な長い茎を持っている事が重要である。
- 水生植物の加工の前に、パルプ化や茎の調整などの前処理が必要である。
[具体的データ ]
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図表1 |
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カテゴリ |
いぐさ
オクラ
加工
栽培技術
せり
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