DNA直接抽出法およびPCR-DGGE法を用いた土壌細菌群集の多様性解析法

タイトル DNA直接抽出法およびPCR-DGGE法を用いた土壌細菌群集の多様性解析法
担当機関 (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 1998~2002
研究担当者 須賀有子
福永亜矢子
浦嶋泰文
堀兼明
池田順一
発行年度 2002
要約 土壌微生物DNAを培養法を用いずに、ビーズ法を組み合わせたHot-detargent法により直接抽出し、細菌の16SrDNAをPCR増幅、DGGE(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)を行い、得られたバンドパターンの画像解析によって、土壌細菌群集の多様性解析ができる。
キーワード PCR、DGGE、画像解析、土壌細菌、多様性解析
背景・ねらい 野菜作・畑作の持続的安定生産のためには、適切な土壌管理が必要である。土壌有機物管理の適正化が土壌微生物相の改善に重要であることも解明され始めており、土壌微生物相を指標とした新しい土壌診断技術確立の可能性がある。また、土壌中で培養可能な細菌は全体の数%と言われており、培養法に代わる分子生物学的方法を用いた新しい手法の導入による土壌微生物相の解析技術の確立が望まれている。そこで、培養法を用いずに、直接抽出した土壌微生物DNAを用いたPCR-DGGE及び画像解析による土壌細菌群集の多様性解析方法について検討する。
成果の内容・特徴 1.
土壌微生物DNAを培養法を用いずに直接抽出する方法としては、高価な機械を必要とせず、汚染防止のため少量のサンプルで簡便に作業が行えるHot-detargent法に、ジルコニアビーズを用いたビーズ法を組み合わせる(図1)。これによりDNA抽出量は約5倍になる(データ略)。
2.
16SrDNA増幅用PCRプライマー(E.coli:985f-GC~1384r)を用いてPCR増幅を行い、得られたPCR産物をポリアクリルアミド変性ゲルでDGGEを行い、バンドパターンの検出を行う。電気泳動用の画像解析ソフトを用いて、バンドの検出、濃度の計算を行い、その構成割合からシャノン・ウィナー法で多様性指数を求める(図2)。
3.
抽出DNA及びPCR産物は、特に精製することなく用いることができる。また、一度に多数の土壌サンプルの解析が短期間(約2日)で行える。
4.
有機物連用土壌の土壌微生物DNA抽出量をみると、堆肥区は化成肥料区に比べて多く、有機物施用量が多い方が多い。DGGE解析では、堆肥区は化成肥料区に比べてバンド数が多く、有機物および肥料の種類によって特徴的なバンドが見られ、バンドパターンは大きく異なる(図2)。また、多様性指数は、堆肥区は化成肥料区に比べて高く、有機物施用量が多い方が高い。
成果の活用面・留意点
研究機関において連作障害土壌などの土壌微生物相の診断に活用できる。

本成果の土壌サンプルは灰色低地土を用いた。腐植等のPCR阻害物質含量の高い土壌サンプルを用いる場合は、DNA抽出後カラム等による精製が必要である。

従来法とは全く異なる原理に基づく方法である。
図表1 219284-1.gif
図表2 219284-2.gif
カテゴリ 肥料 土壌診断 連作障害

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