イラクサギンウワバの被害拡大とその薬剤感受性

タイトル イラクサギンウワバの被害拡大とその薬剤感受性
担当機関 兵庫農技総セ
研究期間 2000~2002
研究担当者 吉松慎一(農業環境技術研究所)
八瀬順也
発行年度 2002
要約 これまで害虫として問題になったことのないイラクサギンウワバが,近年多発している。本種は一部の有機リン剤やIGR剤による殺虫効果が著しく劣るなど,薬剤感受性に特徴を示す。
キーワード イラクサギンウワバ、野菜害虫、薬剤感受性
背景・ねらい イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)は海外で著名な野菜害虫であるが、日本での発生は少なく、これまで害虫として問題になったことはない。ところが2000年に兵庫県で多発生を認め、以降害虫として認識されるようになっている。全国的にも多発の傾向が見られており、今後こうした状態が続くことが懸念されるが、国内における本種の防除に関する知見はない。そこで防除対策の一環として,発生実態および幼虫の薬剤感受性を調査する。
成果の内容・特徴 1.
2000年9月、兵庫県明石市のキャベツほ場でイラクサギンウワバ幼虫の多発生を認めた。2001年と2002年の調査によると、秋野菜に発生するウワバ類のうち9割以上がイラクサギンウワバである。春季には従来種であるタマナギンウワバの発生比率が高いものの、いくらか発生が認められる(表1)。
2.
加害作物は多く、キャベツ、ブロッコリー、ダイコン、ハボタンなどアブラナ科作物をはじめ、レタス、ゴボウ、キク、ステビア,トマト、ピーマン、ニンジン、オクラでも被害がみられている(表2)。
3.
本種は一部の有機リン剤(PAP、DEP)やIGR剤(テフルベンズロン、フルフェノクスロン)およびカルタップ水溶剤に対する感受性が著しく低い。合成ピレスロイド剤(シペルメトリン、エトフェンプロックス)やエマメクチン安息香酸塩乳剤、クロルフェナピル水和剤に対する感受性はきわめて高く、次いでカーバメート剤(メソミル、チオジカルブ)、BT剤に対する感受性が高い(表3)。
4.
キャベツほ場で実施した薬剤効果試験でも、PAP乳剤には全く防除効果がみられていない。また、エマメクチン乳剤、スピノサド水和剤、ルフェヌロン乳剤では散布後一時的に密度は減少するものの、15日後には無処理と変わらない密度の増加を示し、殺虫効果の高い薬剤であっても本種に対する残効期間は短いと考えられる(表4)。
成果の活用面・留意点 1.
本種の幼虫は従来からいるタマナギンウワバときわめて似ていることもあって、発生の確認が遅れていると思われる。
2.
現在イラクサギンウワバに登録のある農薬がないので、登録適用の拡大に努める必要がある。
図表1 219349-1.gif
図表2 219349-2.gif
図表3 219349-3.gif
図表4 219349-4.gif
カテゴリ 病害虫 あぶらな オクラ 害虫 きく キャベツ ごぼう だいこん トマト にんじん 農薬 はぼたん ピーマン ブロッコリー 防除 薬剤 レタス

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