タイトル | 緑肥すき込みによる促成トマトの増収効果と施肥管理技術 |
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担当機関 | 広島農技セ |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
國田丙午 伊藤純樹 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 促成トマト栽培において輪作した緑肥をすき込むと、トマト4年間の累積収量は無作付けよりも20%増加する。トマト作では10a当たり基肥窒素として無作付け時標準の50%減の5kgを、追肥として標準の8kgを施肥すればよく、減肥が可能である。 |
キーワード | 促成トマト、緑肥、すき込み、輪作、減肥 |
背景・ねらい | 沿岸島しょ地域では地域内に有機質資源が乏しく,また,有機物の肥料効果が明らかでない。そこで、促成トマトの作付け体系に緑肥を導入し、緑肥の4年連続すき込みがトマトの収量に及ぼす効果と、トマトの緑肥の窒素肥料効果を勘案した施肥管理技術を現地実証する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 緑肥はギニアグラス「ソイルクリーン」を7月下旬に、10a当たり0.4kg播種し、出穂直前の9月上旬にトラクターで押し倒しながらすき込み、乾燥後再度すき込み直し、約2か月間腐熟させる。トマト「ハウス桃太郎」は11月下旬に定植し、翌年の2月から6月まで収穫する。 2. トマト栽培後の緑肥は、無肥料で栽培しても播種後47日で草丈180cmにまで生育し、10a当たり生草重が6,100kg、乾物では953kgとなる。この時の緑肥は、炭素率(C/N比)が21で、10a当たり窒素19.8kg、リン4.1kg、カリ45.0kgの養分を吸収する(表1)。また、トマトと緑肥の輪作を3年以上行うと、緑肥が吸収した窒素の28%をトマトが利用するために、10a当たり5.5kgの施用効果がある(データ省略)。 3. 緑肥をすき込むと、土壌の無機態窒素含量はすき込み直前では無作付けよりも著しく少ないが、トマト栽培終了時では同等となる。一方、交換性加里含量はトマトの栽培終了時では無作付けよりも高くなる。また、陽イオン交換容量と腐植含量は4年間輪作してすき込んでも無作付けと大差ない(表2)。 4. 緑肥を4年連続してすき込むと、トマトは生育が無作付けよりも早く、収量が4作累積で20%増加する(図1)。また、緑肥をすき込む場合には、10a当たりの基肥窒素を緑肥無作付け時の半量の5kg、追肥を標準の8kg施用することにより、トマトの収量は最も高くなり、この施肥窒素量で十分と判定する(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 促成トマト以外の作目に応用する場合には、ギニアグラスは熱帯原産のイネ科植物であり高温期での栽培が適しているため、この特性を考慮した作付け体系を組み立てる必要がある。また、「ソイルクリーン」のすき込みは、トマトを加害するネコブセンチュウ密度の低減に有効である。 2. 播種後30日の緑肥をすき込む場合は、10a当たり窒素成分で約4kgの施用効果がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 乾燥 管理技術 くり 栽培技術 施肥 トマト 播種 輪作 |