タイトル |
野菜用歩行型移植機を用いたシンテッポウユリの機械移植技術 |
担当機関 |
愛媛農試 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
森重陽子
石々川英樹
水口 聡
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発行年度 |
2003 |
要約 |
シンテッポウユリのマルチ栽培において、200穴プラグトレイで育苗し、野菜用歩行型の全自動及び半自動移植機を用いて移植すると、移植時間を約7~8割短縮できる。全自動移植機では1穴2本苗とし、移植前に苗引き抜き作業を行うことで、慣行と同程度の栽植密度となり、移植精度も良好である。また、切り花収量・品質も慣行と変わらない。[
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キーワード |
シンテッポウユリ、全自動移植機、半自動移植機、移植作業、省力化
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背景・ねらい |
シンテッポウユリは水田転作作物として有望であるが、栽培管理の大部分が手作業で、その中でも移植作業には約70h/10aを要する。そこで、野菜用の全自動と半自動移植機を利用した機械移植技術を確立し、移植作業の省力化を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 全自動移植機を用いたシンテッポウユリの移植では、1穴2本苗とし、1行程1条(2本)ずつ、うね幅140cm、株間17.9cmの往復4条(8本)植えとすることで、栽植密度は慣行と同程度となる。その移植作業時間は14.5h/10aと慣行の約22%である(表1、図1)。
- シンテッポウユリをプラグトレイで育苗すると、トレイ上部では根張りが悪い反面、トレイ底部ではトレイと根の密着が強いため、全自動移植機の場合、箸爪による苗の抜き取りが難しく、正常植え割合が低下する。そこで、移植前に苗をあらかじめ引き抜いておくことで全自動移植機での移植精度は向上する(表2)。
- 半自動移植機では、1行程2条ずつ、うね幅165cm、株間11.1cmの往復6条植えとすることで、栽植密度は慣行と同程度で、移植精度も良好である(表1、表2)。その移植作業時間は20.5h/10aと慣行の約30%である(図1)。
- 移植時の苗質は、全自動移植機の2本苗では半自動移植機の慣行苗よりやや小さいものの、収量・切り花品質は全自動移植機・半自動移植機とも慣行と同程度である(表2、表3)。
- 播種・育苗を含めた移植関連作業時間は、全自動移植機では、充実種子の選別やトレイの2本苗の調整、苗引き抜き処理の作業時間が加わるが、1穴2本苗とするため、10aあたりの育苗トレイ数を少なくでき、播種・育苗時間が短縮できるため、138.3h/10a(慣行比約63%)となり、半自動移植機では181.1h/10a(慣行比約80%)となる(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 水田転換畑のシンテッポウユリに適用できる。粘質土では水分・砕土率などによっては根鉢と土の間に隙間ができ、活着率が低下する恐れがあるので注意する。
- 品種「雷山1号」「雷山2号」で適用できる。
- 草丈約7cm、葉数約3枚で、引き抜いても根鉢が崩壊しない充実した苗を使用する。
- いずれの移植機でも枕地は1.5m程度必要である。
- 全自動移植機では、栽植密度を確保し、確実に移植するため、充実種子の選別や1穴2粒播きとすること、トレイの2本苗の調整、苗引き抜き処理が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育苗
栽培技術
省力化
水田
播種
品種
ゆり
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