タイトル |
蕾生育促進処理による蕾切りシンテッポウユリの出荷調節 |
担当機関 |
愛媛農試 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
森重陽子
水口 聡
石々川英樹
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発行年度 |
2003 |
要約 |
第1花蕾長が約5cmのステージで採取し、8-ヒドロキシキノリン硫酸塩200ppm、スクロース1%およびアブシジン酸10μMの混合液に生け、照度1klx、12時間日長の光環境に置くことで蕾の生育が促進され、葉の黄化を抑制でき花持ちが長くなる。
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キーワード |
シンテッポウユリ、蕾切り、蕾生育促進、品質、出荷調節
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背景・ねらい |
シンテッポウユリは収穫期が夏から秋になるため、夏場の台風や晩秋の降霜は多大な被害をもたらす。現在気象情報は正確に把握でき、被害に遭う前に一斉に収穫することは可能であるが、その場合未熟な蕾段階の切り花がほとんどを占めることになる。そこで、蕾切りシンテッポウユリの蕾の生育を促進し出荷する技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 第1花蕾長が3~5cmのステージで採取する場合、第3花まですべての蕾を開花させるためには糖による処理が不可欠である(表1)。
- スクロース濃度について1~5%で開花率が高くなり、それより低いと開花率が低下する。外花被中の糖質濃度が自然生育と同等になることより、1%で十分であると考えられる(図1)。
- 暗黒条件で処理すると上位茎や蕾の白色化が起きるため、光照射が不可欠である。照度は1klx以上あれば十分である。連続照射の必要はなく、12時間日長で蕾は正常に生育する。(表2)
- アブシジン酸の添加により葉の黄化が抑制でき、その濃度は10μMが適当である。(表3)ジベレリンまたはアブシジン酸では障害発生はない。
- 蕾生育促進処理したシンテッポウユリは自然生育より3~4日程度花持ちが長い。(表2、表3)
- 以上より、第1花蕾長が約5cmのステージで採取し、8-ヒドロキシキノリン硫酸塩200ppm、スクロース1%およびアブシジン酸10μMの混合液に生け、照度1klx、12時間日長の光環境に置くことで、蕾切りシンテッポウユリの商品化が可能となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 台風や降霜の回避および出荷調節に有効である。
- 上位茎に屈地性が認められるため、処理中は蕾切り花をできるだけ垂直に保持する。
- 処理する糖について、スクロース、グルコース、フルクトースいずれの糖を用いても同等の品質になるため、価格や入手のしやすさを考慮するとスクロースが適当であると考えられる。
- 抗菌剤としては、硫酸アルミニウムより、8-ハイドロキシキノリン硫酸塩を添加する方が開花率が高い。
- 処理温度20℃、25℃および30℃では、その温度が高いほど出荷までの日数が短くなる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
出荷調整
ゆり
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