タイトル |
根域集中管理によるブドウ「デラウェア」の省力土壌改良法 |
担当機関 |
島根農試 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
大野泰司
倉橋孝夫
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
樹冠占有面積25m2のブドウ「デラウェア」を適正に生育させるために必要な最少土壌容積は0.75m3であり、土壌改良範囲は慣行(幹から半径1.8m、深さ30cm程度)の1/4に縮小できる。深さ30cmで改良を行う場合、土壌改良範囲は樹冠占有面積の約1/8となる。
|
キーワード |
ブドウ、「デラウェア」、省力化、根域集中管理、土壌改良法、最少土量
|
背景・ねらい |
ブドウ園管理を行う上で、重労働である土壌改良は、生産者の高齢化に伴い実施するところが少なくなってきている。そこで、省力かつ効果的な土壌改良を行うために、幹を中心にした狭い範囲に根を張らせ、その部分のみ水分・施肥管理を行い、好適な生育を維持できる最少土量を検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- 根域集中管理法は、土壌容積を0.25~1.5m3に設定した高さ30cmの正方形の枠を作り、底に防根シートを敷く。そこへ土量1m3当たり有機物200kgを混合した砂丘未熟土を充填し「デラウェア」を植え付け、樹冠占有面積25m2を目標に樹冠拡大を行う。
- 樹冠占有面積25m2を満たすために必要となる土量は0.5m3以上となるが、果粒軟化期の新梢長が1.2~1.5mの適正な生育を維持するためには土量0.75m3以上が必要である(図1)。また、1樹当たり収量および果実品質は、土量0.25m3がそれ以上の土量に比較し劣る傾向がある(表1)。
- 以上の結果、高品質果実生産と土壌改良作業の省力化を考慮すると、好適樹相を保つことができる必要最少土量は1樹当たり0.75m3(樹冠占有面積25m2/樹)となる。
-
樹冠占有面積25m2に対する最少土量を0.75m3とすると、土壌改良範囲は図2に示すとおり、幹を中心に半径1.02mの範囲内を深さ30cmで改良すれば良い。このとき、幹から半径50cmは太根が多く改良を行わない範囲とし、最少土量には含めない。
-
この最少土量での土壌改良範囲は、慣行の1/4であり、土壌改良範囲が縮小されることで、深耕作業の省力化、土壌管理の徹底につながる。
|
成果の活用面・留意点 |
- 深さ30cmで土壌改良した場合、土壌改良範囲は樹冠占有面積に対して約1/8で栽培可能であり、水分・施肥管理もこの範囲内のみに行う。
- この最少土量での栽培は水分管理が重要となるため、マイクロスプリンクラーや点滴かん水など、かん水設備を充実する。また、点滴かん水にあわせて養液施肥などを同時に行うことにより、更に適正な生育を維持できる。
- 成木園では既に園全域に根が広がっているため、根域集中管理を行う際の断根処理により、樹勢に悪影響が出やすい。そのため、新植時からこの技術を利用して根域集中管理を行うことが望ましい。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
省力化
施肥
土壌改良
ぶどう
|