タイトル |
玄米の外観品質が優れる温暖地向き巨大胚水稲新品種「はいいぶき」(旧系統名「中国183号」) |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
1996~2005 |
研究担当者 |
春原嘉弘
飯田修一
前田英郎
松下 景
根本 博
吉田泰二
中川宣興
石井卓朗
坂井 真
|
発行年度 |
2005 |
要約 |
水稲「はいいぶき」は、GABA生成能力の高い巨大胚系統である。温暖地西部では中生の晩の熟期で、「はいみのり」に比べて、苗立性、玄米外観品質が優れる。精米の際に胚芽が落ちにくいことから、発芽玄米だけでなく胚芽米としても利用が期待される。
|
キーワード |
イネ、巨大胚、GABA、苗立性、外観品質、発芽玄米、胚芽米
|
背景・ねらい |
温暖地向きの巨大胚水稲品種「はいみのり」はγ-アミノ酪酸(GABA)の多い発芽玄米等に利用されてきたが、苗立ちが不良という短所があり、苗立性の良い巨大胚品種が望まれていた。
|
成果の内容・特徴 |
- 水稲「はいいぶき」は、巨大胚の「奥羽359号(後の「恋あずさ」)」と、良食味の「中国151号」の交配後代から育成された巨大胚系統である。
- 育成地における普通期栽培での出穂期は「日本晴」より3日程度遅く、“中生の晩”に属する粳種である(表1)。
- 耐倒伏性は「はいみのり」並の“強”で、収量は「はいみのり」並かやや多収である(表1)。
- 育苗における苗立性は「日本晴」より劣るものの、「はいみのり」より明らかに優れる(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子Pia、PiiおよびPikを持つと推定され、圃場抵抗性は葉いもちが“弱”、穂いもちが“やや弱”である。白葉枯病抵抗性は“やや弱”で、穂発芽性は“やや難”である(表1)。
- 玄米重に対する胚芽重の割合は「はいみのり」よりやや低いものの、一般品種の2~3倍である。水に浸漬後のGABA生成量は「はいみのり」より少ないが、一般品種の2倍程度である。玄米の外観品質は「はいみのり」より優れる(表1、表2)。
- 白米の食味は「日本晴」より粘りが強く、「はいみのり」より明らかに優れる(表1)。精米時における胚芽残存歩合が高く、胚芽米としても利用が期待される(表3)。胚芽を残した分つき米を用いた調理飯として、五目ちらし寿司などの混ぜご飯や炊き込みごはんに適する(表4)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 巨大胚米が持つ多量のGABA生成能力を活かし、発芽玄米や胚芽米を用いた機能性食品素材としての普及を図り、米の需要拡大につなげる。
- 適応地帯は関東以西の温暖地であり、「はいいぶき」を「はいみのり」に替えて作付けできる。
- いもち病真性抵抗性遺伝子Pikを持つが、圃場抵抗性が弱いので侵害菌の発生する地帯ではいもち病防除を徹底する。
- 育苗における苗立性は「はいみのり」より優れるものの、一般品種と比べると劣ることから、育苗の際は播種量を多めにすることで一般品種と同程度の苗立数を確保することができる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
病害虫
育苗
いもち病
需要拡大
新品種
水稲
機能性食品
抵抗性
抵抗性遺伝子
播種
品種
防除
良食味
|