タイトル |
飼料用稲の生産と利用による集落営農連携型耕畜連携営農モデルの策定 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
恒川磯雄(中央農研)
堀江達哉
井上憲一(島根大)
棚田光雄
加藤克明
|
発行年度 |
2007 |
要約 |
集落営農組織が中心となり、自ら飼料用稲を栽培し、他からの受託を含め15ha程度の収穫作業を担う営農モデルである。集落営農推進の政策と現場ニーズに合致し、生産面・経営管理面での優位性も発揮できる。畜産部門との信頼関係の構築が重要となる。
|
キーワード |
耕畜連携、飼料用稲、稲発酵粗飼料、WCS、集落営農、水田転作
|
背景・ねらい |
中山間地域の多くで水田農業の担い手不足が深刻化しているが、有力な対処方法として集落営農への期待が高い。こうした集落営農(組織)が飼料用稲生産に取り組む場合、専用収穫機の経済的な利用規模(15~20ha程度)を単独組織で確保するのは難しいことから、複数の集落組織が連携して飼料用稲を作付け、生産した稲発酵粗飼料(WCS)を周辺の畜産農家に販売する耕畜連携を地域営農システムの一方式として想定することができる。その普及定着を図るためには、地域体制像を描き、設立運営の課題等を整理し、各主体とシステム全体の経済性を明示する必要がある。
|
成果の内容・特徴 |
- 複数の集落営農組織が連携して耕畜連携に取り組んでいる実践事例の実態把握と分析に基づき、組織体制を営農モデルとして整理する(図1)。中心となる法人Aは飼料用稲の栽培を行い、収穫機を所有し、作業受託分と合わせて15haの収穫調製作業を行う。法人Bは飼料用稲を栽培し、収穫調製作業をAに委託する。地域が異なるため生産したWCSは各々の組織で畜産経営に販売する。畜産側にとってWCSは地域内産ではあるが購入飼料の一つと位置づけられる。堆肥の積極的な還元利用を行う。
- 集落営農組織は畜産側との信頼関係構築に努める必要がある。WCS品質の安定化を図るため特に収穫調製・運搬の作業の適正化に留意し、情報交換と交流の場を設ける。
- 15ha規模の営農モデルの経済性について目安の指標を表2に示す。A法人10ha(購入苗移植)、B法人5ha(鉄コーティング散播)の作付け、転作助成6万円/10aとする。労賃差し引き後の栽培過程のA法人の余剰(構成員への地代配当と内部留保の原資)は1.25万円/10a、A法人の全所得(個人配分+法人余剰)は427万円となる。この収益は集落営農間連携によって初めて可能となった点に着目する必要がある。
- この営農モデルは水田率の高い地帯で集落営農を推進する場合に適用可能である。耕畜間の関係を形成する取り組みの初期段階では関係機関の役割が重要となる。
- 経済性のデータは事例分析や統計に基づく目安の値である。畜産側の経済性は金額のみを示したが、品質や取扱い適性も考慮する必要がある。集落営農の収益配分が労働重視型か地代重視型かで具体的な配分内容は異なる。
- モデルは飼料用稲への助成を前提としたものである。他の形態の営農モデル、助成金や技術水準等の条件が変化した場合の影響など、詳しい情報は刊行予定の「飼料用稲の生産・利用による耕畜連携へ向けて(成果マニュアル)」を参考とされたい。
[具体的データ]
|
成果の活用面・留意点 |
- この営農モデルは水田率の高い地帯で集落営農を推進する場合に適用可能である。耕畜間の関係を形成する取り組みの初期段階では関係機関の役割が重要となる。
- 経済性のデータは事例分析や統計に基づく目安の値である。畜産側の経済性は金額のみを示したが、品質や取扱い適性も考慮する必要がある。集落営農の収益配分が労働重視型か地代重視型かで具体的な配分内容は異なる。
- モデルは飼料用稲への助成を前提としたものである。他の形態の営農モデル、助成金や技術水準等の条件が変化した場合の影響など、詳しい情報は刊行予定の「飼料用稲の生産・利用による耕畜連携へ向けて(成果マニュアル)」を参考とされたい。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
経営管理
収穫機
飼料用作物
水田
中山間地域
|