タイトル |
耐倒伏性に優れた夏播き用えん麦新品種候補「九州5号」 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
極早生の夏播き用えん麦新品種「九州5号」を育成した。本品種は既存品種より優れた耐倒伏性、冠さび病抵抗性を備えている。「はえいぶき」に比べて、出穂は7日遅く、乾物収量は同程度である。九州農業試験場・草地部牧草育種研究室・上席研究官
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背景・ねらい |
南九州を中心に、トウモロコシ後の畑、早期水稲後の水田で、えん麦の夏播き栽培が増加している。しかし、既存品種は耐病性、耐倒伏性が不十分である。平成8年に育成した極早生品種「はえいぶき」は発芽性、早熟性、収量が優れる反面、耐倒伏性、冠さび病抵抗性の改良は不十分である。そこで、耐倒伏性、冠さび病抵抗性が優れ、初冬の強霜の前に乳熟期に達する極早生品種の育成を目指した。
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成果の内容・特徴 |
「九州5号」は、Diamante R-31とCoker 87-9の交配による集団育種法で育成した。- 耐倒伏性は、「はえいぶき」、「スーパーハヤテ隼」より強い(表1)。
- 冠さび病抵抗性は極強であり、「はえいぶき」、「スーパーハヤテ隼」より強い(表1)。
- 乾物収量は、「はえいぶき」並で、「スーパーハヤテ隼」より低い(表2)。
- 乾物率は「はえいぶき」、「スーパーハヤテ隼」と同程度である(表3)。
- 採種量は、「はえいぶき」並で、「スーパーハヤテ隼」よりやや低い(表2)。
- 極早生に属し、出穂は「はえいぶき」、「スーパーハヤテ隼」より7日程度遅い(表3)。
- 草丈は「はえいぶき」並で、「スーパーハヤテ隼」より低い(表3)。
- 乾物分解率は「はえいぶき」、「スーパーハヤテ隼」よりやや低い。粗たん白含有率は「はえいぶき」よりやや高く、「スーパーハヤテ隼」と同程度である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 九州、瀬戸内海地域等の温暖地での夏播き栽培に適する。強い風雨にあった場合には耐倒伏性の「九州5号」が、霜が早い場合には早熟な「はえいぶき」が有利であり、2品種を併用することによって、全体として被害を軽減できる。
- 出穂がやや遅いので、適期内に早播きする必要がある。南九州では9月上・中旬に播種する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
えん麦
新品種
水田
水稲
抵抗性
とうもろこし
播種
品種
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