タイトル | 2回刈り稲発酵粗飼料の肉用繁殖牛における栄養価と採食性 |
---|---|
担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
佐藤健次 小林良次 小路 敦 中西雄二 服部育男 平野 清 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 2回刈り稲発酵粗飼料(飼料イネサイレージ)の栄養価は1番刈サイレージではDCP6.9%、TDN46.1% 2番刈サイレージではDCP3.9%、TDN52.9%であり、肉用繁殖牛は1番刈サレージなら体重比(DM)1.2%、2番刈サイレージなら体重比2.0%採食可能である。 |
キーワード | 稲発酵粗飼料、飼料イネサイレージ、肉用繁殖牛、栄養価、採食性飼養管理 |
背景・ねらい | 飼料イネは飼料自給率の向上とともに、稲の生産調整の強化に円滑に対応できるため、九州地域においてもその栽培面積が増加傾向にあり、特に、九州地域は我が国の主要な肉用子牛生産地域であるため、飼料イネサイレージを肉用繁殖牛用飼料として利用したいとの要望が強い。しかし、飼料イネサイレージの肉用繁殖牛における栄養価および採食性についてはほとんど解明されていない。よって、台風による倒伏や病害虫防除に有効な栽培方法と考えられる2回刈り栽培で調製された飼料イネサイレージの肉用繁殖牛における栄養価および採食性について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 飼料イネサイレージ(スプライス)の成分組成は表1に示すように、1番刈(出穂期)と2番刈(黄熟期)を比較すると粗蛋白質、粗繊維は1番刈が高く、NFEは2番刈が高い。また、九州地域で一般によく利用されているイタリアンライグラスおよびトウモロコシサイレージ(日本標準飼料成分表,2001年版)と比較すると、1番刈は粗蛋白質、粗繊維は出穂期のイタリアンライグラスサイレージにほぼ近い値であるが、NFEはイタリアンライグラスよりかなり低い値である。2番刈は各成分とも黄熟期のトウモロコシサイレージと類似した値である。飼料イネサイレージの粗灰分は1番刈および2番刈とも約20%と、イタリアンライグラスおよびトウモロコシサイレージの2倍近い値である。 2. 消化率(全糞採取法)は図1に示すように、1番刈は粗蛋白質、粗繊維が60%以上と良好な値を示し、2番刈はNFEが66%と良好な値を示す。その結果、飼料イネサイレージの栄養価は1番刈はDCP6.9%、TDN46.1%、2番刈はDCP3.9%、TDN52.9%である。 3. 飼料イネサイレージの1番刈と2番刈の発酵品質は表2に示すように1番刈は乳酸含量が低く、逆に酪酸は約1%、VBN/T-Nは約20%とともに高く、サイレージの品質を示すV-scoreは9と低い値である。それに対して、2番刈は乳酸含量は約2%近くあり、酪酸およびVBNの割合も低く、V-scoreは69と1番刈より高く、これらのサイレージを肉用繁殖牛に自由採食(60日間)させた時の採食量は表3に示すように体重比(DM)で1番刈1.2%、2番刈2.0%であり、2番刈は嗜好性が良好である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 栄養価からみて、1番刈サイレージは肉用繁殖牛の維持期および妊娠期の飼料に、2番刈サイレージは授乳期の飼料に向いていると考えられる。 2. 飼料イネサレージの肉用繁殖牛への長期通年給与が繁殖機能、子牛生産性に及ぼす影響については未解明であるので、飼料イネサレージのみの単味給与は避けた方がよい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 イタリアンライグラス 飼育技術 トウモロコシサイレージ 繁殖性改善 病害虫防除 |