タイトル |
集落共同作業組織への水稲直播栽培導入の影響と組織運営改善効果 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1999~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
要約 |
集落共同作業組織に水稲直播栽培(ショットガン直播)を導入すると、作業時期の分散により機械装備台数が削減できる。また、移植補助労働の削減により10a当たり春作業時間は20%強の減少が見込まれる。機械償却費や人件費の削減により、約30haの水稲作業規模を想定すると、組織における10a当たり春作業コストは約24%低減できる。
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キーワード |
集落共同作業組織、水稲直播、コスト低減
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背景・ねらい |
農業労働力の高齢化や兼業深化等担い手の減少状況下で稲麦大豆二毛作を維持・展開するには、省力に特徴を有する水稲直播栽培技術の導入が必要である。これまで、個別経営への水稲直播栽培技術の導入効果は多く示されているが、集落営農組織への導入効果は十分に解明されていない。そこで、集落レベルで代かき同時土中点播直播栽培技術を導入した集落共同作業組織である福岡県S機械利用組合における、水稲直播栽培導入前後の組織出役構造やコスト構造の変化を分析して水稲直播栽培導入の組織運営への影響や改善効果を明らかにし、直播導入推進の参考に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲直播栽培を導入すると、作業時期の分散により1日に必要とされる作業面積が減少するが、小麦収穫作業と水稲直播作業が同時期化する場合がある(図1)。
- 水田50ha規模、生産調整率40%で、水稲は全て移植とする体系(全移植体系)と直播を10ha導入する体系(直播・移植組み合わせ体系、直播機1台導入)を比較すると、全移植体系は移植時期に集中して多くの出役者や機械装備が必要であるのに対し、直播・移植組み合わせ体系では移植時期の出役者数、補助労働時間、機械台数が削減できるが、麦類収穫作業と水稲直播作業の同時期化により5月下旬や6月上旬にもオペレータの確保が必要になり、兼業等農繁期の一部に出役するオペレータの役割が高まる(表1)。
- 組織的に実施する水稲の春作業(直播は塩水選・種子粉衣・水廻り・代かき・播種、移植は水廻り・代かき・移植)について、直播と移植の10a当たり労働時間を比較すると、移植に比べ直播では約23%減少する(図2)。
- また、想定規模(直播は直播10ha+移植20haの組み合わせ、移植は移植30ha)において、直播のみに係る組織としての費用と、移植のみに係る組織としての費用を比較すると、10a当たりの春作業費用は、直播では機械償却費の削減と人件費の削減により、移植の約24%の低減が見込まれる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 専業、兼業、高齢者等多様な出役者で構成される集落共同作業組織において、水稲直播栽培を導入しようとする際に、出役計画策定や組織運営(作業料金設定等)を検討する場合の参考となる。
- 麦類の作付面積約50ha(うち大麦20ha、小麦30ha)、水稲作付面積約30ha(生産調整率40%)規模の組織を想定している。
- 麦類の収穫時期や水稲直播の播種時期の制約等は北部九州地域のものであり、これに類似する地域において適用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
大麦
経営管理
コスト
小麦
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