自殖性そば中間母本候補系統「九州PL4号」

タイトル 自殖性そば中間母本候補系統「九州PL4号」
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 1998~2005
研究担当者
発行年度 2005
要約 そば「九州PL4号」はそば近縁野生種から導入した自殖性遺伝子を持つために自殖稔性が高く、花柱性は雌しべと雄しべが長い長等花柱花である。野生種由来の子実脱落性遺伝子を除去してあるため、自殖性導入の育種素材として優れている。
キーワード そば、自殖性、子実脱落性、花柱性、育種素材、中間母本
背景・ねらい 普通そばは自家不和合性に起因する他殖性作物である。有用形質を交配などで導入しようとすると、育成の過程で形質遺伝子のホモ化に時間がかかる。交配結実は昆虫の飛来に左右されるために安定的な採種が難しい。普通そば近縁野生種Fagopyrum homotropicumの自殖性遺伝子が普通そばに導入できることが明らかになり、我が国での自殖性そば品種開発の要望が高まっている。そこで、子実脱落性を排除した自殖性中間母本を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「九州PL4号」は、「牡丹そば」(短花柱花)に近縁野生種F. homotropicumを交配し、幼胚を培養して交雑植物体を得、それ以降F4世代まで選抜して得た自殖性系統を「牡丹そば」に戻し交雑し、以降、系統育種法により自殖性と子実非脱落性を選抜目標に固定を図って育成した自殖性系統である(表1)。平成17年秋はB1F11世代である。
  2. 1遺伝子に支配される自殖性を示す。自殖性遺伝子は花柱性の遺伝子と多面発現関係にあり、自殖性個体は雄しべと雌しべの長さがほぼ等しい長等花柱花である。この花柱性の表現型は自殖性選抜マーカーとして利用できる(図1、表2)。
  3. 「九州PL4号」は、野生種由来の子実脱落性対立遺伝子(Sht1)を持たないので、普通そばと交配しても子実脱落性を示さない(表3)。
  4. 成熟期は「牡丹そば」よりも遅く、「常陸秋そば」よりもやや早い中間型に属する。草丈や分枝数、花房数などは「牡丹そば」や「常陸秋そば」より劣り、生育は旺盛でない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 「九州PL4号」を母本に用いることで自殖性そば育種の効率化が図られる。
  2. 遺伝解析に「九州PL4号」を用いることで重要形質の遺伝様式解明が進展する。
  3. 「九州PL4号」を花粉親に用いる際には短花柱花より長花柱花を母親として用いると雑種種子を得られやすい。
  4. 「九州PL4号」の結実率(結実数/開花数)は向上していない。「九州PL4号」に普通そばを交配したF1は着花数が多いので、このF1を用いた三系交配あるいは戻し交配の育種操作が効果的である。
  5. 「九州PL4号」は他殖性の普通そばとも容易に交配するため、本系統の維持増殖は隔離栽培が必要である。
    注)子実脱落性とは枝梗に離層を形成し、子実が容易に落下する現象である。一般にそばで問題となる成熟期に枝梗が切れて脱粒する現象とは異なる。
図表1 222936-1.jpg
図表2 222936-2.jpg
図表3 222936-3.jpg
図表4 222936-4.jpg
カテゴリ 育種 そば 品種開発

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