タイトル |
サイレージ用トウモロコシ一代雑種の新親品種候補「Mi91」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1996~2007 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
2007 |
要約 |
サイレージ用トウモロコシの親自殖系統「Mi91」(エムアイキュウジュウイチ)は、“中生の晩”のフリント種で、ごま葉枯病抵抗性と耐倒伏性に優れ、組合せ能力が高い。「Mi91」を種子親とする一代雑種は、南方さび病に強く、TDN収量が高い。
|
キーワード |
トウモロコシ、自殖系統、ごま葉枯病抵抗性、耐倒伏性、飼料作物育種
|
背景・ねらい |
トウモロコシの栽培品種は、形質の固定した自殖系統どうしを交配した一代雑種(F1)である。F1には、収量などに雑種強勢が現われるほか、耐病性・茎葉TDN含量などには両親の形質が受け継がれるため、優良F1品種の育成には優秀な自殖系統の育成が不可欠である。とくに晩播・夏播き栽培では、南方さび病に強く雌穂収量とTDN収量が高く、九州地域に適したF1品種が必要である。そこで、晩播・夏播き用F1品種の親として、組合せ能力が高く諸形質に優れた自殖系統を育成する。
|
成果の内容・特徴 |
- 南方さび病抵抗性改良集団から選抜した改良集団「RD96-12」から、ごま葉枯病抵抗性、耐倒伏性などについての選抜と自殖により育成した自殖系統である。
- 早晩性は「Mi44」並で(表1)、“中生の晩”に属する。
- 稈長は「Mi44」並で、着雌穂高は「Mi44」より高く「Mi62」より低い。稈径は「Mi62」並である(表1)。雌穂は“円筒~先端円錐型”で、粒列数は平均12.8列、粒は“橙色”で“丸形”である。
- ごま葉枯病抵抗性及び紋枯病抵抗性はいずれも“強”である(表2)。耐倒伏性は「Mi44」および「Mi62」より強い(図1)。
- 採種性は、実収量で38.4kg/aで、デント種の「Mi44」および「Mi62」より多い。花粉飛散程度は「Mi44」および「Mi62」より多い(表1)。
- 組合せ能力は高い。本系統を種子親とする単交雑F1品種「なつむすめ」は、晩播・夏播き栽培において南方さび病に強く、耐倒伏性に優れ、同熟期の普及品種と比べて、TDN収量が高い(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- サイレージ用トウモロコシF1品種の親系統として利用できる。
- ワラビー萎縮症抵抗性は弱いので、夏播き用の単交雑F1育成時の交配相手にはワラビー萎縮症抵抗性の強い系統を用いる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
育種
ごま
飼料作物
抵抗性
とうもろこし
品種
|