鹿児島県の主な畑土壌における硝酸態窒素の吸着特性

タイトル 鹿児島県の主な畑土壌における硝酸態窒素の吸着特性
担当機関 鹿児島農開セ大隅支場
研究期間 2006~2010
研究担当者
発行年度 2007
要約 土壌の硝酸態窒素吸着特性は土壌の種類で異なり、特にアカホヤは他の土壌に比べて、硝酸態窒素吸着量が多く、硝酸態窒素流出の遅延効果が大きい
キーワード 硝酸態窒素、吸着、吸着等温式、遅延係数
背景・ねらい 近年、農業地帯周辺において化学肥料や堆肥の施用に由来する硝酸態窒素による地下水や河川等の汚染が指摘されている。農地における硝酸態窒素の動態解明は、家畜ふん堆肥や化学肥料の施用が地下水等の周辺環境に及ぼす影響等を検討する上で意義がある。土壌中における硝酸態窒素の移動は、土壌による吸着によって影響されることが知られている。この土壌による硝酸態窒素の吸着は、土壌の種類や土壌pH、共存する陰イオン濃度等によって大きく影響される。そこで、土壌中における施肥窒素の動態解明を図るため、本県の主な畑土壌として黒ボク、アカホヤ、黄色土および暗赤色土を供試し、これら土壌における硝酸態窒素の吸着特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. バッチ吸着試験における土壌に吸着された硝酸態窒素量と平衡溶液中の硝酸態窒素濃度との関係は、いずれの供試土壌においてもFreundlich型吸着等温式(Q(吸着量)=KCn、K、nは定数、Cは平衡溶液濃度)で表現できる(図1)。
  2. 得られた吸着等温式を用いて、平衡溶液が1mmolc L-1の場合における供試土壌の硝酸態窒素吸着量(mmol kg-1)を推定した結果、各種土壌の硝酸態窒素吸着量は、黒ボク土が0.85、アカホヤが4.79、褐色ロームが0.78、黄色土が1.08および暗赤色土が1.00となり、特にアカホヤの吸着量が他の土壌に比べて約4~6倍と多い(図2)。
  3. バッチ吸着試験で得られた分配係数(平衡溶液濃度が1mmolc L-1の時の固液分配比K値)を用いて、土壌カラム試験における遅延係数(Rf)を移流分散方程式に基づき推定した結果、黒ボク土が約1.5、アカホヤが約3.3、黄色土が約2.1および暗赤色土が約2.3となり、特にアカホヤは他の供試土壌に比べて、遅延係数(Rf)が約1.5~2倍と大きい(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 供試土壌は、いずれも施肥歴のないものを用い、採取地は黒ボクとアカホヤが大隅支場のある笠野原台地、黄色土と暗赤色土が徳之島である(表2)。供試土壌の土壌統群は、黒ボク土が多腐植質普通黒ボク土、黄色土が細粒質山地黄色土(粘板岩風化土壌)、暗赤色土が典型石灰型暗赤色土(琉球石灰岩風化土壌)である。
  2. 今回の遅延係数(Rf)は、モデル的な土壌物理条件下における推定値である。
  3. 硝酸態窒素溶脱推定モデル構築の基礎資料とする。

図表1 223520-1.jpg
カテゴリ 肥料 施肥

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