タイトル |
飼料用・米粉用など多用途に利用できる多収水稲新品種「ミズホチカラ」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
1987~2008 |
研究担当者 |
坂井 真
岡本正弘
西村 実
八木忠之
西山 壽
田村泰章
梶 亮太
田村克徳
溝淵律子
平林秀介
片岡知守
山下 浩
深浦壮一
本村弘美
滝田 正
斉藤 薫
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発行年度 |
2008 |
要約 |
「ミズホチカラ」は出穂期が「ニシホマレ」並の中生種で、耐倒伏性が強く粗玄米収量が一般主食用米より約20%多収である。玄米品質・米飯の食味は不良であり主食用には適さないが、飼料米や米粉原料などの加工用米に利用できる。
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キーワード |
水稲、多収、飼料、米粉
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背景・ねらい |
国際的な穀物高騰の影響を受けて、国産の飼料穀物や、小麦の代替としての米粉へのニーズが高まっており、生産調整水田や耕作放棄田において飼料米用、米粉原料としての米生産が試みられている。そこで、これらの用途のために低コストで生産できる専用の多収品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「ミズホチカラ」(旧系統名:西海203号)は奥羽326号/86SH283長(水原258号/台農67号、F6、後の九系753)の交配組み合わせ後代から育成された。
- 籾重および粗玄米重は「ニシホマレ」より約20%多収である(表1)。配布先では最大1000kg/10aの粗玄米収量が得られている(表3)。
- 普通期栽培での出穂期は「ニシホマレ」並かやや早い“中生の晩”であるが。成熟期は「ニシホマレ」より普通期で14日程度おそく“極晩生”である。耐倒伏性は「ニシホマレ」より強い“極強”である。直播栽培における転び型倒伏抵抗性も強い(表1)。
- 玄米の見かけの品質は腹白が多く“下上”であり、食味も「日本晴」に劣る“中下”である(表1)。
- 米粉パンに適するとされる「タカナリ」よりも、パンのふくらみが良く腰折れ(焼成後変形)が少ないなど優れた特性を示す(表2、写真1)。
- いもち病抵抗性遺伝子には1個または複数の真性抵抗性遺伝子を持つと推定され、圃場抵抗性は“不明”である。白葉枯病抵抗性は“弱”である。縞葉枯病には罹病性である(データ略)。
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成果の活用面・留意点 |
- 多収性、強稈性を生かした低コスト生産に適すると考えられ、飼料米として利用可能である。また、低コストな米粉の原料米としても利用可能と考えられる。栽培適地は暖地の平坦部(普通期作)および温暖地平坦部(早植え)であり、福岡県において経済連等が飼料米として120haの作付けを計画している。
- 茎葉収量は高くないので、稲発酵粗飼料やわら用には適していない。
- 生育量を確保するため多肥栽培を行う。
- 葉の枯れ上りが遅く、登熟日数が一般食用品種より長いので、登熟を確保するため落水を遅らせる等水管理に留意する。
- 白葉枯病に弱いので常発地では栽培しない。
- ベンゾビシクロンを含む水田除草剤による薬害を生じるので、これら薬剤を施用しない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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図表8 |
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図表9 |
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図表10 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
加工
小麦
直播栽培
縞葉枯病
除草剤
飼料用米
新品種
水田
水稲
多収性
抵抗性
抵抗性遺伝子
低コスト
品種
水管理
薬剤
良食味
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