タイトル |
定温蒸気処理によるマンゴーの炭疽病様黒色斑点の抑制 |
担当機関 |
鹿児島県農業開発総合センター |
研究期間 |
2004~2008 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2008 |
要約 |
マンゴー収穫後に発生する炭疽病様黒色斑点は、定温蒸気処理により抑制できる。
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キーワード |
マンゴー、炭疽病様黒色斑点、定温蒸気処理
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背景・ねらい |
鹿児島県におけるマンゴーの栽培面積は拡大傾向にあり、平成17年度栽培面積37.7ha、出荷量231tで全国第3位の産地である。また、果実を樹上で果皮が鮮紅色に着色するいわゆる樹上完熟させた後に出荷するため食味や果皮色が優れ、消費者の購買意欲を高めているが、最近、流通過程で果皮面に炭疽病様黒色斑点が発生し問題となっている。炭疽病様黒色斑点防止には温湯処理が一般に行われているが、温湯の温度管理が煩雑なことや果皮色のくすみや食味低下などの品質劣化を伴う。 そこで、炭疽病様黒色斑点発生抑制のための温湯処理に替わる簡便な処理法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 果皮の黒色斑点は炭疽病様のものが多く、黒色斑点病斑(写真1)から炭疽病菌(Colletotrichum属)の他にAlternaria属とCladosporium属の糸状菌が分離される。
- 培養菌体を用いたモデル試験では47℃-20分、49℃-10分、52℃-5分以上相当の加熱処理で黒色斑点原因菌の生育が抑制され、実際の定温蒸気処理では50~52℃で10分間相当の処理で黒色斑点が抑制できる(図1)。
- 52℃での定温蒸気処理は温湯処理と黒色斑点の抑制効果が同等であるが、加熱処理後低温貯蔵したときの果皮色の赤みの増加や食味の低下などの品質低下が少ない(図1、表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 流通段階での黒色斑点発生低減により、マンゴー生産農家の収益や本県産マンゴーのイメージ向上につながる。
- 定温蒸気処理装置内の湿度が100%となってから処理を行わないと、処理果実に萎縮が発生する場合がある。
- 定温蒸気処理は、果実の品温等により処理温度と時間を調整する必要がある。
- 定温蒸気処理後のマンゴーは直ちに冷却して果実温度を下げる必要がある。
- 定温蒸気処理後の果実は炭疽病菌等で2次汚染されない環境で貯蔵する必要がある。
- 定温蒸気処理装置(写真2、処理能力40kg/回(約80~130個))を県内企業と共同特許出願し、平成20年に販売を開始した。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
温度管理
出荷調整
炭疽病
マンゴー
良食味
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