タイトル | 夏季栽培ヒエと春秋季イタリアンライグラスを利用する水田放牧草地 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
山本嘉人 西田智子 池田堅太郎 北川美弥 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 転作田等の草地化にあたって、耐湿性の強い栽培ヒエとイタリアンライグラスを季節により組み合わせることにより、3月下旬から11月末まで放牧可能な年間乾物生産量約1t/10a、延べ放牧頭数約1,000頭・日/haの高牧養力の放牧草地ができる。 |
キーワード | 栽培ヒエ、イタリアンライグラス、放牧、肉用牛 |
背景・ねらい | 転作田等の草地化にあたっては、湿害や水田土壌等の条件により、従来の草地造成管理技術が適用できないことが多い。このため耐湿性が強い栽培ヒエを採用し、さらに比較的冬季の生育が良好なイタリアンライグラスと組み合わせて肉用繁殖牛を放牧利用することにより、夏季の生産量確保と放牧延長が可能な高牧養力の放牧草地を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 5月に栽培ヒエ(グリーンミレット晩生)を4kg/10a追播し(最初は耕起造成とする)、6月から輪換放牧を実施しながら(図1)、9月の滞牧時にイタリアンライグラス(シワスアオバ)を4kg/10a追播し、以降は同様に春には栽培ヒエ、秋にはイタリアンライグラスを追播し季節により主要草種の変換をはかる。 2. 農家の水田放牧草地では当初播種されたトールフェスク等の牧草種は衰退するが、5月にリノベータ追播した栽培ヒエの比率は高まり、翌春には秋に追播したイタリアンライグラスの比率が高まる(図2)。 3. 栽培ヒエとイタリアンライグラスの組み合わせ草地の年間生産量はおよそ1,000kgDM/10aで、初年度は全生産量に占める栽培ヒエの比率が高いが、2年目以降は生産量に占める播種牧草の比率が低下し雑草等の比率が高まる(表1)。5月以降秋季までは栽培ヒエの比率が、春季にはイタリアンライグラスの比率が高い。 4. 組み合わせ草地には3月下旬から11月末まで肉用繁殖牛を補助飼料無給与で、5月∼9月までは5∼6頭/ha程度、その前後は2∼3頭/ha程度放牧できる。年間放牧実績は500kg換算で初年目660頭・日/ha、2年目1,179頭・日/ha、3年目882頭・日/haで増体重は19∼378kg/ha/年である(表1)。 5. 組み合わせ草地の栄養価は冬季のイタリアンライグラス期に高く、夏季の栽培ヒエ期はやや低下する(図3)。年間平均CP含有率は19.8%DM、平均推定TDNは57.1%DMである。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 地下水位が高く永年生牧草の定着が悪い転作田を放牧地として活用する場合に適用できる。またイタリアンライグラスを組み合わせることで放牧延長が可能である。 2. 草種の転換は蹄耕法やリノベータ法等を用いた追播で可能であるが、経年的に追播牧草の比率低下(とくに夏季栽培ヒエ)もみられ、2年毎に耕起更新する方が望ましい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 イタリアンライグラス 管理技術 雑草 湿害 水田 耐湿性 肉牛 播種 繁殖性改善 ひえ |