低地の浅層地下水流動を規制する地形の配置様式

タイトル 低地の浅層地下水流動を規制する地形の配置様式
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 低地の浅層地下水流動は台地および低地内地形面の配置に強く規制されている。地形配置の観点から6タイプに類別された台地-低地の地形連鎖系は、それぞれ特有の地下水流動システムを形成している。
背景・ねらい 近年、硝酸態窒素等による地下水汚染が茶園・果樹園・畑地を中心に進行している。このような地下水汚染状況を土地利用と関連させて的確に把握するには、地下水流動系を基礎とする効果的な水質モニタリングシステムの確立が急務である。低地における浅層地下水の流れは低地内の地形(配置および起伏)のみならず、低地に隣接する台地の配列状態にも強く規制される。したがって、低地の浅層地下水流動システムを的確に予測し地下水の有効利用・水質保全を図るには、台地と低地を連関させた地形分析が不可欠である。
一般に、わが国における台地及び低地は山麓部の逆断層運動の影響下で形成され、地形面変位量(沈降量)の増大に伴い地形の配置様式が遷移すると考えられる。そこで、この種の地形発達過程で想定される一連の地形配置様式を地下水流動の観点から類別・パターン化し、台地と低地の地形配置様式を相互に組み合わせることにより、台地-低地の地形連鎖系を類型化する。このような地形学的手法により、低地浅層の地下水流動システムを広域に且つ効率よく予測することが可能になる。
成果の内容・特徴
  1. 山麓部の逆断層運動を伴う地形発達をモデル化し、地形面の変位(沈降)に応じて遷移する地形配置様式をn(正規型)、i(中間型)およびb(埋没型)の3タイプに分類した(図1)。この方式に基づき、台地(U)および低地内地形面(L)の配置はそれぞれUn、Ui、Ub、および、Ln、Li、Lbに類別され、両者の組み合わせにより台地-低地系が類型化される。
  2. 沈降量の小さい北上盆地と大きい横手盆地を対象に、既に開発したマルチスケール地形分類法(地理学評論68巻5号)により台地および低地を画定し、台地-低地系の諸類型と第四紀の沈降量との関係を検討した。その結果、沈降量の増大に伴い、地形変位の小さいUnLn型から台地の一部が低地の下に埋没したUiLn・UiLi型へ、さらに、台地が完全に埋没したUbLn・UbLi・UbLb型へと系統的に類型の遷移することが明らかになった。
  3. 台地-低地系の諸類型ごとに、地下水面図、湧泉およびグライ層の出現状況を検討した結果、各類型はそれぞれ特有の地下水流動システムを形成していることが確かめられた。例を挙げると、台地の一部が埋没したUiLn(花巻;図2)やUiLi(紫波)では埋没台地土壌(難透水層)により山麓側に浅層地下水盆が形成されるため、地下浸透流は下方へも側方へも滞り、広範囲に排水不良地帯の出現することがグライ層の検出により確かめられた。後者では浅層地下水盆の効果に加え、透水性の低い低地内地形面(L1面;地理学評論68巻5号)が下流側に残存するため地下水流は収束し、流出口に当たる土地の地下水位を高めていた(図3)。さらに沈降量が増し台地のみならずL1面も新期の地形面下に完全に埋没したUbLb(千畑)では、大規模洪水流跡等に規制された放射状の地下水流動システムが形成されることが、地下水面図と湧泉分布により確かめられた(地理学評論67巻2号)。
成果の活用面・留意点 本地形分析法により浅層地下水の流動系やその集水範囲(地下水域)が画定でき、広域的かつ効果的な水質モニタリングを実施する上で有用な地形的情報が提供される。
図表1 224178-1.gif
図表2 224178-2.gif
図表3 224178-3.gif
カテゴリ 茶 モニタリング

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