前駆脂肪細胞の分化を促進する大豆成分

タイトル 前駆脂肪細胞の分化を促進する大豆成分
研究期間 1997~1998
研究担当者 関谷敬三
発行年度 1997
要約 大豆抽出物は前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化促進作用を示す。活性成分はダイゼインなどのイソフラボン類である。ダイゼインで処理した細胞はインスリン感受性が高まりグルコース取り込みが上昇する。
背景・ねらい  
生活習慣病の予防に食生活が大きな役割を果たしていることが明らかにされつつあることより、最近農作物の持つ健康機能性に対する関心が高まっている。生活習慣病の中でも糖尿病や高脂血症は脂肪細胞の機能の不全がその原因のひとつであることが指摘されている。脂肪細胞はその前駆細胞より分化してでき、分化調節物質は脂肪細胞の機能を調節し上記疾患にも影響を与えることが知られている。そこで、地域農作物の健康機能性の解明のひとつとしてこの脂肪細胞分化に注目し検索を行ったところ大豆に活性を認め詳細を検討することにした。
成果の内容・特徴
  1. 農作物抽出物を培地に添加し前駆脂肪細胞を培養すると細胞中のグリセロール-3-リン酸脱水素酵素(GPDH)活性の上昇が認められ脂肪細胞への分化を促進する作用が見られる(表1)。分化促進作用を示す大豆抽出物はニンジン(昨年報告)、パセリ抽出物とはエーテルに対する溶解性が異なるため大豆について検討を加えた。
     
  2. 大豆抽出物は濃度依存的にGPDHの活性と細胞内油滴の形成(トリグリセライド(TG)含量の増加)を増加させ脂肪細胞への分化を促進させる作用がある。大豆抽出物の分化促進作用は既知の分化促進剤であるDMI(デキサメタゾンとメチルイソブチルキサンチンとインスリンの3種類の混合試薬)とほぼ同程度である(図1)。
     
  3. 大豆抽出物に含まれる活性成分はダイゼイン、ダイジンなどのイソフラボン類である(図2)。
     
  4. ダイゼインで処理した細胞を用いてグルコースの取り込みを調べたところ、インスリン添加時のグルコース取り込み量が著しく上昇しており、未処理細胞と比較してインスリンに対する感受性が高まっている(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 大豆イソフラボンによる脂肪細胞分化促進作用は生体内において血糖値や血清脂質濃度の低下を引き起こすことで糖尿病や高脂血症などの予防に寄与すると考えられる。
     
  2. 摂取した際の生体内での効果は検討する必要がある。
図表1 224483-1.gif
図表2 224483-2.gif
図表3 224483-3.gif
図表4 224483-4.gif
カテゴリ 機能性 大豆 にんじん パセリ

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