26. 遺伝子操作による新規デキストラン合成酵素の作出

タイトル 26. 遺伝子操作による新規デキストラン合成酵素の作出
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1998~2000
研究担当者 舟根和美
小林幹彦(秋田県総合食品研究所)
北村義明
発行年度 1998
要約  デキストラン工業生産株Leuconostoc mesenteroides
背景・ねらい
 Leuconostoc mesenteroides NRRL B-512F 株のデキストランスクラーゼ(DS)は、スクロースを分解し、水溶性のグルコースポリマーであるデキストランを合成する酵素である。B-512F株はこれまでただ一種類のDSしか持たないとされていたが、今回、DSの活性中心部位のみを持った新規DS様蛋白をコードするdsrT遺伝子を発見した。この遺伝子産物の性質を調べ、さらに遺伝子操作でデキストラン合成活性の回復を図った。
成果の内容・特徴
  1. 新規DS様蛋白をコードするdsrT および既知のDSをコードするdsrS
    遺伝子をそれぞれ大腸菌中で発現した。DSRTは約150kDaと、DSRS(約200kDa)よりも小さい蛋白であることがわかった(図1)。
  2. 大腸菌中で生産したDSRSおよびDSRTをそれぞれ約200倍に精製した。精製した酵素の活性を測定した結果、DSRT
    は弱いスクロース分解活性があり、またDSRS
    の活性を反応終期においてやや阻害した(図2)。
  3. dsrT遺伝子は、DSの活性中心部位をコードする領域の下流に5塩基の欠損があった。この塩基の欠損を補充し、修復した遺伝子dsrT5
    を大腸菌中で発現した。PAS染色では、DSRTにはデキストラン合成活性は認められず、修復されたDSRT5は分子量が約210kDaと大きくなり、デキストランの合成活性が認められた(図3)。  
  4. DSRS とDSRT5 を用いて実際にデキストランを合成した。DSRS
    は水溶性の高いデキストランを作り、DSRT5 が生産したデキストランは、白色の沈殿を形成した。DSRT5
    はDSRSよりも水溶性の低いデキストランを生産すると考えられる(図4)。
成果の活用面・留意点 [成果の活用面と留意点]
 L. mesenteroides が一度失った酵素を遺伝子操作で蘇らせることにより、新しい構造のデキストランを生産することが可能になった。現在新規デキストランの構造解析を進めているところである。
図表1 224519-1.gif
図表2 224519-2.gif
図表3 224519-3.gif
図表4 224519-4.gif
カテゴリ シカ

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