生食用野菜・果物の衛生管理に関する米国調査

タイトル 生食用野菜・果物の衛生管理に関する米国調査
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 1999~2004
研究担当者 一色賢司
稲津康弘
川崎 晋
名塚英一
発行年度 2001
要約 生食に伴うリスク低減化の努力は、生産から消費に関与する全ての人々に求められるべきである。米国では、一次生産からの食品衛生的な配慮と適正農業規範(GAP)の策定、収穫後の適正製造規範(GMP)による衛生管理が進められ、その一方で、消費者の適切な役割分担が求められていた。
キーワード 生食、食品衛生、適正農業規範、GAP、適正製造規範、GMP、消費者
背景・ねらい 発症菌量の少ない腸管出血性大腸菌O157:H7(O157)等の病原体対策に関する知見やノウハウの集積が進んでいない状態であり、特に野菜・果物については生のまま食べられることも多いことから、生産から消費までの全ての段階で衛生管理の徹底を図る必要があり、その対応が求られている。米国では生鮮野菜・果実、特に芽物野菜とカット野菜・果物による食中毒発生を踏まえて、その対策の研究が伸展し施策として実施されている。このため米国の安全性確保に対する研究や現場の対策を調査し、我が国の生鮮食品の衛生管理の技術開発に貢献する。
成果の内容・特徴
  1.  生食は加熱食よりも食品衛生上のリスクが、高い。米国では大統領主導で、食品の安全性向上キャンペーンが繰り広がられていた。我が国では、適正農業規範(GAP、注1)や適正製造規範(GMP)等の前提条件を無視してHACCPに取り組む傾向がある。消費者の役割分担も必須であることから、食品衛生思想の普及を優先させるべきである。
  2.  野菜や果物は、天然自然の恩恵を受けながら、言い換えれば自然の影響下で生産されるため、不確定な要素が多く、食品衛生上の解決すべき課題が多い。米国では、各省庁が協力し、各州政府、大学等の協力も得ながら基礎研究を強化推進させるとともに、各農家・作物毎のGAPの確立に努めている。生鮮農産物をGAPにより適正に生産し、その後の食品としての加工・流通をGMPで行うことを目指していた。
  3.  生食野菜・果物の洗浄・殺菌についても表1のように解決すべき課題が多いことが、多くの米国の研究者との意見交換で合意された。
注1) 適正農業規範(GAP):衛生的な農産物を生産するために必要な条件を示たものである。従前は、農薬や動物用医薬品の適正使用を意味する事が多ったが、近年腸管出血性大腸菌等の病原体を農作物が媒介する事が問題となり、衛生的な農業環境の確保や農作業の実施全般を意味するようになった。
注2) 適正製造規範(GMP):衛生的な食品を製造加工するために必要な条件を示したものである。米国では、衛生的な条件下でのみ食品を取り扱うことを重視し、法制度を整備している。我が国の食品の規格基準は、最少限度の衛生条件を示したものであり、やや抽象的である。これに対し、米国のGMPは具体的に記載され、高度の衛生的品質の製品を得ることを目的とし、GMPに適合しない食品は処分の対象となる。GAPを含めて、GMP(適正管理規範)と表現されることもある。
成果の活用面・留意点 米国では、産学官が柔軟に連携し、その中で技術開発が順調に進んでいるように感られた。我が国でも、食品安全性対策における柔軟な連携協力等の取り組みが必要である。国土の大きさや食生活の違い等、我が国と米国は異なる点も多く、全ての技術や考え方を直ちに受け入ることはできない。生食を好む食文化を持つ我が国は、本分野を強化し研究勢力を増やして我が国に合った食品の安全性確保技術を開発して行く必要がある。しかし、技術開発だけでは安全性確保は困難であり、国民各位にサラダ等の生食食品の長所と短所を良く理解していただくことも必要と考られた。
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図表3 224532-11.gif
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図表11 224532-6.gif
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図表13 224532-8.gif
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カテゴリ 病害虫 加工 農薬

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