カップ麺製品へのノシメマダラメイガ幼虫の侵入様式と発育

タイトル カップ麺製品へのノシメマダラメイガ幼虫の侵入様式と発育
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2006~2006
研究担当者 宮ノ下明大
今村太郎
村田未果
発行年度 2006
要約  ノシメマダラメイガ幼虫は、カップ麺製品の包装フィルム上にある空気抜き穴をかじり、容器とフィルムの間隙に侵入する。また、製品の中身の即席麺を餌として成虫まで発育できる。どんぶり型容器のカップ麺製品への本種の侵入防止には、空気抜き穴を少なくし背貼りのない包装が望ましい。
キーワード カップ麺製品、ノシメマダラメイガ、昆虫混入、即席麺
背景・ねらい  食品メーカーにとって、異物混入による製品回収の経費や企業イメージの低下は企業経営に悪影響が懸念され大きな問題になっている。異物混入のクレームの現状は明らかではないが、公的機関でのデータをみると、昆虫は異物混入の内24.5%(国民生活センター)、40.2%(東京都衛生局)を占め、最も頻度が高い異物である。昆虫の混入に対する対策は、その労力が膨大であるにもかかわらず、実用的な研究が非常に遅れている。本研究では、昆虫混入が知られている様々な包装形態を持つ加工食品のうち、どんぶり型容器のカップ麺製品を取り上げ、その主要害虫であるノシメマダラメイガ幼虫の侵入様式を明らかにし、製品の中身の即席麺を餌とした場合の発育の可否を調べる。
成果の内容・特徴
  1. 図1に示した方法により調査した結果、終齢幼虫(孵化後19日目)はシュリンクフィルムと容器の間の空間の大きな箇所を好んで侵入する。フィルムのふた面や側面にある空気抜き穴および側面や底面にある背貼り(フィルムのつなぎ目)上にある穴に対し幼虫のかじり跡が確認される(図2)。またフランジ(ふたの縁)ではフィルム上から発泡ポリスチレンシート容器を穿孔し、容器内へ侵入して、即席麺を摂食している個体が認められる。
  2. 即席麺を餌とした場合、室温30℃、湿度70%、16L8Dの条件においてノシメマダラメイガ幼虫は成虫まで平均33~34日で発育し、成虫羽化率は30%と、良好な餌である米糠と比べて劣る(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. カップ麺製品のどんぶり型容器に使われているシュリンク包装に対して、ノシメマダラメイガ終齢幼虫は侵入できるので、昆虫混入に対して注意が必要である。
  2. 幼虫はカップ麺容器の側面部分のフィルムに開口する空気抜き穴をかじって侵入する頻度が最も高いことから、フィルムの空気抜き穴を少なくする工夫が必要である。
  3. 幼虫は容器の背貼り部分からも侵入するため、背貼りないシュリンク包装へ改善できれば、侵入頻度を低くできる。
  4. 幼虫はフランジから発泡ポリスチレンシート容器を直接穿孔することから、フランジ表面に側面と同様なコート剤を塗布するなど侵入防止を図る必要がある。
  5. 本研究の結果は、どんぶり型容器のカップ麺製品に対して有効である。カップ麺製品には様々な容器と包装形態があり、ノシメマダラメイガ幼虫の侵入様式は製品ごとに異なる可能性があり個々について検討が必要である。
図表1 224625-1.jpg
図表2 224625-2.gif
図表3 224625-3.gif
カテゴリ 害虫 加工 経営管理

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