タイトル |
アブラナ科野菜の塩蔵工程におけるグルコシノレート類の挙動 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2004~2005 |
研究担当者 |
亀山眞由美
吉田充
佐々木啓介
村田貴志
鈴木チセ
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発行年度 |
2006 |
要約 |
多様なグルコシノレート(GSL)類を含むクレソンおよび野沢菜について、GSLの逆相HPLCプロファイルを作成した。塩蔵中のクレソン並びに野沢菜漬けのGSL量は漸次減少するが、全GSL量に占めるインドールGSL類の割合が増加する。
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キーワード |
グルコシノレート、漬け物、クレソン、野沢菜
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背景・ねらい |
アブラナ科野菜はその主要な二次代謝産物として多様なグルコシノレート(GSL)類を含有している。GSLは肝臓等における解毒酵素を活性化することによる制ガン作用が注目されているイソチオシアネート類の前駆体であり、アブラナ科野菜の摂取による発ガンリスクの低減が提唱されている。本研究では、漬け物あるいはその製造過程におけるGSL含量の変化について解析した。
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成果の内容・特徴 |
- 大根の主要なGSLである4-methoxy-3-butenyl glucosinolateは甘酢漬けやキムチなど比較的熟成過程の短い漬け物で検出されるが、沢庵漬けなど熟成工程の長い漬け物では検出されない。
- クレソンと野沢菜は分析したアブラナ科野菜の中でも特にGSLの種類に富み、それらの熱水抽出物は図1に示すようなHPLCプロファイルを示す。同一条件で分析した場合、溶出時間によりおおよその同定が可能である。
- クレソン生葉および湯通ししたクレソンを3%食塩水に7日間浸積したモデル塩蔵実験においては、全GSL量は減少するが、全GSL量に占めるインドールGSL類の割合が増加する(図2、図中のグラフ参照)。また、生葉と湯通しの7日後の全GSL量は乾物g当たり468および747μgであり、インドールGSL類の割合は湯通しした方が少ない。湯通しによって、ミロシナーゼ活性およびストレス反応によるインドールGSLの増加が抑制されたと考えられる。
- 野沢菜生葉と比べて野沢菜漬けにおいてインドールGSL類の割合が増加している。
- 野沢菜から分取した各GSLのミロシナーゼ消化実験において、4-methoxyglucobrassicinは極めて高いミロシナーゼ耐性を示す。また4-hydroxyglucobrassicinのミロシナーゼ消化物は速やかにhydroxyascorbigenに変換される(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- インドールGSLの分解物であるインドール化合物については制ガン作用等の機能性に関する知見が蓄積しつつある。クレソン、野沢菜はインドールGSLを多く含むため、利用法、調理法を工夫することにより、より有効に機能性成分を摂取できる可能性がある。
- 湯通しなどによってミロシナーゼ活性を制御することにより、GSLに富む漬け物や加工食品の製造が期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
あぶらな
加工
機能性
機能性成分
クレソン
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