タイトル | エコール生産に影響を与えるヒト由来腸内細菌の発見 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 | 2006~2010 |
研究担当者 |
田村 基 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 健常人のヒトの糞便からジヒドロダイゼイン高生産性の新菌種TM-40株を発見した。TM-40株は、ヒト糞便フローラのエコール生産性の向上に寄与した。本菌は、フラボノイド類代謝性研究に関して貴重な研究材料として活用し得る。 |
キーワード | 機能性、エコール、腸内細菌、糞便フローラ、ジヒドロダイゼイン |
背景・ねらい | イソフラボン類の摂取量及び体内動態に関して安全性と機能性の両面から社会的な関心が高まりつつある。主要なイソフラボンであるダイゼインからは、腸内フローラ(腸内細菌叢)の代謝によって、ダイゼインよりもエストロゲン活性が強いエコール(equol)が生成する。イソフラボン類の吸収・代謝制御には、腸内フローラのイソフラボン類代謝制御が重要である。そこで、イソフラボン類代謝性ヒト腸内細菌のプロフィールを獲得し、in vitroでのヒト腸内フローラのイソフラボン類代謝性を解明する。 |
成果の内容・特徴 | 1.健常人のヒトの糞便からイソフラボン類代謝性ヒト腸内細菌の単離・同定を試み、ジヒドロダイゼイン高生産性の新菌種TM-40株を発見した。TM-40株は、ダイゼインとダイゼインの配糖体であるダイジンのいずれからもジヒドロダイゼインを生産可能であった(表1)。しかし、TM-40株はエコールを生産しなかった。 TM-40株の16S rRNAホモロジーの解析結果から、この細菌は、Coprobacillus catenaformis と93%の相同性がある新菌種である可能性が見出された(図1)。 2.ヒト糞便希釈液を用いたin vitroでのイソフラボン類代謝性試験で、TM-40株のエコール生産性に及ぼす影響を検討したところ、TM-40株をジヒドロダイゼイン生産能とエコール生産能を有するヒト糞便に添加することによりエコール生産性が向上した(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.ヒトの糞便に、従来全く見出されなかった種類のジヒドロダイゼイン生産菌が存在することを明らかにした。 2.TM-40株は、16S rRNAホモロジーの解析結果から、Coprobacillus catenaformis と93%の相同性を有しているが、新菌種である可能性がある。本研究結果は、ヒトの腸内に未だ同定されていないイソフラボン類代謝菌の存在を示唆するものである。 3.今回発見された腸内細菌TM-40株は、健常人の糞便から検出され、イソフラボン代謝性がin vitro において非常に高い活性を有していたことから、健常人のフラボノイド代謝性研究に関して、貴重な研究材料として活用し得る。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 機能性 |