タイトル |
有機物還元容量増強のための飼料作物草種・品種の選定と栽培法 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1992~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
有機物還元容量を増強させ得る超多収品種が、生育・利用形態を異にするトウモ ロコシ、ソルガム、ギニアグラスで見いだされた。栽培技術としてはマルチが収量の安 定化に有効で、ギニアグラスでは移植が生育促進に有効であった。
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背景・ねらい |
飼料作物の超多収性を利用して土壌中の有機物還元容量の増強を図ることを目指し、多収が期待できる主要草種・品種について乾物生産の潜在的能力の解明と、栽培技術の改善による超多収周年作付体系の基本技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
夏作の主要飼料作物から多収草種・品種の探索を行った結果、茎葉と子実の両方を利用する草種・品種としてトウモロコシ(WR9401をはじめ晩生の数品種)が、茎葉のみを利用するものとしてソルガム(新育成品種のテンタカ)が、また、刈取再生が可能なものとして暖地型牧草のギニアグラス(ナツカゼ)が有望と認められた。栽培技術としては、マルチがいずれの草種でも収量安定化に有効で、ギニアグラスには移植が極めて増収効果が高いことが明らかになった。いずれの草種においてもスラリー施用(10t/10a)に対する反応は良好であった。
- トウモロコシでは、WR9401をはじめ晩生品種の中に、既存のリーディング品種のP3358より1.5倍も多収の2.5t/10aの乾物収量水準に達するものを見い出した(図1)。マルチはとくに冷害年などでは収量減を大幅に軽減する効果を示したが、WR9401は早播でマルチをすることによってスラリーの施用効果が発揮された(図2)。
- ルガムは、テンタカが安定して超多収を示すことが認められた。高温条件が継続した1994年では最大5t/10aの乾物収量水準に達し、また、平年の1995年でも3t以上の収量を示した(図3)。スラリー施用によって増収したが、マルチによってさらに増収効果が認められた(図4)。
- 暖地型牧草では、ギニアグラスのナツカゼが安定して多収を示し。ナツカゼではとくに移植(5葉期苗)による生育促進効果が大きく(図5)、また、移植・マルチ・スラリーの組み合わせで、2.6tの乾物収量が得られることが判明した(図6)。
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成果の活用面・留意点 |
- 草種・品種・栽培法の組み合わせによって、地域や利用形態に応じた作付体系の組立研究に利用できる。
- 実用栽培体系では作業機械の対応が欠かせない。特に、安価な移植機及び省力的なマルチング機械の開発が併せ必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
栽培技術
栽培体系
飼料作物
ソルガム
多収性
凍害
とうもろこし
品種
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