酒造業者の「吟風」に対する顧客満足度と目標取引価格水準

タイトル 酒造業者の「吟風」に対する顧客満足度と目標取引価格水準
担当機関 北海道立中央農業試験場
研究期間 2004~2005
研究担当者 白井康裕
後藤英次
田中一生
発行年度 2005
要約 北海道の酒造業者は、「吟風」に対して「解け具合」、「蛋白」、「着色具合」、「供給安定性」、「千粒重」、「心白」の順で改善を望んでいる。これらを改善すれば、府県産米よりやや安価な16,000円/60kg程度を目標に取引価格を高められる可能性がある。
キーワード 「吟風」、酒米、酒造業者、顧客満足度、価格受容性
背景・ねらい
米産地には、食糧法の施行に伴う市場原理の下で、「売れる米作り」への取り組みが求められており、用途別の需要動向を把握することが急務とされる。そこで、酒造業者の北海道米(吟風)に対する評価を的確に把握し、本道の酒米産地における生産体制の構築に貢献するとともに、酒造好適米(以下:酒米)の品種・栽培技術の開発に役立てる。

成果の内容・特徴 1.吟風に対する総合評価への影響度及び満足度がともに高い項目は、「さばけ具合」、「心白」、「味ののり」、「千粒重」の4項目であった(図1)。一方、影響度は高いものの満足度の低い項目は、「着色具合」、「解け具合」、「蛋白」の3項目であった。
2.現状の吟風について、「解け具合」、「蛋白」、「着色具合」、「供給安定性」、「千粒重」、「心白」の順に改善を要すものと判断された(図2)。なお、吟風の「価格」には、各業者とも満足しており、改善の重要性は低いものと判断された。
3.米粒内におけるアミロース含有率等の内部成分や心白等の内部組織構造が影響する「解け具合」(溶解性)は、「供給の安定性」に対する評価と相関がみられ、年次や産地による品質の変動が大きいことが類推される(図3)。そのため、年次や産地ごとのばらつきを小さくするような品質検査及び出荷体制の整備が必要となる。
4.酒造業者に対して酒米の価格受容性調査を実施した結果、酒米の取引価格が10,488円/60kgを下回ると、過半数の酒造業者が「安すぎる」と判断する(図4)。また、「吟風」の取引価格とほぼ同水準である14,421円/60kgを上回ると、「安い」と判断する酒造業者は半数以下となる。一方、府県産品種の中でも五百万石等の価格に近い18,651円/60kgを上回ると、過半数の酒造業者が「高い」と判断する。また、山田錦の価格に近い23,581円/60kgを上回ると、過半数の酒造業者が「高すぎる」と判断する。
5.北海道の酒造業者が判断した安くもなく高くもない価格水準(心理的0点)は、16,243円/60kgであった(図4)。したがって、道産の酒米取引価格は、府県産米よりもやや安価な16,000円/60kg程度までならば、引き上げが可能であると考えられた。

成果の活用面・留意点
1.「酒米団地」において生産体制を整備する場面で活用する。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「酒造業者のニーズに基づく酒米の品質改善指針」(指導参考)
図表1 213574-1.jpg
図表2 213574-2.jpg
図表3 213574-3.jpg
図表4 213574-4.jpg
カテゴリ 栽培技術 酒造好適米 出荷調整 品種

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