放牧家畜の採食量推定のための長鎖ワックスアルカンの簡易分析法

タイトル 放牧家畜の採食量推定のための長鎖ワックスアルカンの簡易分析法
担当機関 草地試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者 塩谷繁(九州農試)
秋山典昭
斉藤祐二
大槻和夫
栂村恭子
発行年度 1996
要約 放牧家畜の採食量の推定に用いられる長鎖植物体ワックスアルカンの分析に、アルカンを抽出せず直接ケン化する方法とキャピラリーガスクロマトグラフ分析を組み合わせる簡易迅速測定法を開発した。また、多種の牧草分析の結果から、指標には炭素数が31と32のアルカンの組み合わせが多くの草種に適していることがわかった。
背景・ねらい  放牧家畜の採食量を正確に測定することは難しく、研究上重要な課題となっている。最近、植物体のワックスに含まれているアルカンを利用して、採食量を推定する方法が報告
され有望視されているが、そのためにはアルカン測定法の簡便・迅速化が必要である。
成果の内容・特徴
  1. ワックスアルカンの抽出・精製法としては、試料を直接ケン化し、脂肪酸等のケン化物を除去する方法(図1)が、試料から石油エーテルでアルカン等を抽出後、ケン化物を除去する方法に比べ、操作が簡便で所要時間が短いだけでなく、実験操作による誤差も小さく、優れていた。
  2. 草中の含有率と糞中への回収率が高く、採食量推定のマーカーとして適当と考えられる炭素数26以上の長鎖アルカンを分析対象に絞り、キャピラリーガスクロマトグラフでの分析条件を検討した。その結果、320℃での定温分析で、1サンプル当たりの分析時間を約10分間に短縮することができた(図2)。
  3. 多種の牧草のワックスアルカン分析の結果、アルカン含有量は草種、番草、部位によって異なった。しかし、ほとんどの草種で、牧草中の含有量が少ない炭素数32のアルカンを投与し、多く含まれる炭素数31のアルカンとの組み合わせで採食量を推定できることが明らかとなった(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 植物体ワックスアルカンの分析時間が短縮され、指標アルカンを利用した採食量の把
    握が容易になる。
  2. アルカン含有量は草種によって大きな差があるため、対象草種によって投与アルカンおよび分析時に加える内部標準の量を調整する。また、アルカン組成の違いにより、炭素数31、32の組み合わせの利用には注意を要する草種がある。
図表1 224817-1.jpg
図表2 224817-2.jpg
図表3 224817-3.jpg
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