タイトル |
搾乳牛の集約放牧のための放牧計画の立て方 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
須藤賢司
池田哲也
本間毅郎
落合一彦
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発行年度 |
1997 |
要約 |
乳量8,500kg程度の搾乳牛の集約放牧では、1頭あたり50aの放牧地・短草利用・1日転牧・昼夜放牧の条件下で、放牧草からTDN必要量の55%が供給できる。これを前提に、季節ごとの牧草TDN生産速度に配慮した、牧区数(輪換日数)の計算方法を示した。
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背景・ねらい |
牧草の短草利用を基軸とする集約放牧技術は、放牧期間を通して一定の草量と高消化率の牧草を供給でき、個体乳量、8,000~9,000kgの搾乳牛を低コストで省力的に飼養できる。北海道ではこの技術に対する農家の関心が高く、これを導入する農家も増えつつある。そこで、放牧地のTDN生産速度および搾乳牛のTDN必要量をもとにした、各地域で汎用的に使える集約放牧計画(1牧区面積や季節別牧区数の算出など)の立て方を示す。
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成果の内容・特徴 |
- 1牧区面積の基本的設定
メドウフェスク(MF)主体混播草地は草高25cm、ペレニアルライグラス(PR)主体混播草地は草高20cmで利用する時の際の乾物現存草量はそれぞれ176g/㎡、130g/㎡である(図1)。この短草利用条件下で1日の割当草量(体重100kgあたりの乾物現存草量)を5kgとし、体重比で約2%の放牧草が採食されるよう昼夜放牧を行う(図2)。平均体重650kgの乳牛をMF草地に放牧する場合、5kgの割当草量を確保するためには、1日1頭あたり185㎡(5kg×6.5/0.176kg)の放牧地が必要であり、頭数倍して1牧区面積とする。
- 地のTDN生産速度は地域や草種により異なるため、実測する必要がある。代表的な2~3ヶ所の牧区を特定し、ライジングプレートメータなどで、各牧区の放牧前後の現存草量を毎回測定する。あわせて、入牧時に草をサンプリングし、TDN含有率を求め、TDN生産速度を算出する(図3)。
- 牛群のTDN必要量の把握と放牧による供給率
飼養標準により、放牧牛群のTDN必要量を求める。本放牧方法では、通年繁殖・平均乳量8,500kgの搾乳牛群ならば、放牧期間を通じてTDN必要量の55%が放牧草から供給できる。
- 季節ごとの牧区数、輪換日数の決定
生育した草の平均85%が採食されるので、必要放牧地面積を次式により求める。 必要放牧地面積=(日TDN必要量×0.55)/(日TDN生産速度×0.85) 必要牧区数(輪換日数)は必要放牧地面積を1牧区の面積で割る(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 1頭あたり50aの放牧地面積が確保され、乳量8500kg程度の搾乳牛群を放牧する場合、各地域における牧草の日TDN生産速度を測定すれば、季節別の必要牧区数が求められる。
- その年の天候により牧草のTDN生産速度が変動するので、牛と草地の状態をみて調整する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
低コスト
乳牛
繁殖性改善
放牧技術
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