組換えウシインターフェロンτの子宮内連続投与は発情周期を延長させる

タイトル 組換えウシインターフェロンτの子宮内連続投与は発情周期を延長させる
担当機関 上席研究官(家畜繁殖担当)
研究期間 2000~2002
研究担当者 サハ スクマー
横溝祐一
岡野 彰
下司雅也
犬丸茂樹
高橋ひとみ
高橋昌志
志水 学
渡邉聡子
発行年度 2001
要約 バキュロウイルス発現系により作出した組換えウシインターフェロンτを、発情周期の13日から24日に、ウシ子宮内に1日1回200mg投与することにより、黄体の退行が一定期間おさえられ、発情周期が延長する。
キーワード 繁殖、肉用牛、組換えインターフェロンτ、発情周期、子宮内投与
背景・ねらい ウシ胚移植による子牛生産において、早期胚死滅が問題となっている。その原因の一つとして、黄体の早期退行が考えられる。正常妊娠の場合、胚が生産する黄体退行阻止因子により黄体が退行せず妊娠黄体となり妊娠が継続するが、最近、この黄体退行阻止因子は、インターフェロンタウ(IFNτ)であることが明かとなった。本研究では、黄体の退行阻止効果が期待される組換えウシIFNτ(rbIFNτ)のウシ子宮内への連続投与が、黄体機能や発情周期等に及ぼす影響について検討した。
成果の内容・特徴 1.
バキュロウイルス発現系により作出し、超遠心(150,000 x g)、限外濾過(300kDa)、硫安塩析(50~70%飽和)後にPBSで透析したものをrbIFNτとして実験に用いた。周期的に発情を繰り返している雌牛4頭を用い、発情周期の13日から24日にrbIFNτ 200mg(200mg/day投与区)または50mg(50mg/day投与区)、あるいは野生型バキュロウイルスを用いた培養上清濃縮物(200mg/day投与区と同量:対照区)をBSAで蛋白量を1mgに調整したもの0.1mlを0.25-mlストローにつめ、カスー式受精卵移植器を用いて黄体側子宮角内に1日1回投与した。5~6ヶ月間隔をあけ、個体ごとに処置の順番を入れ替えて実験を行った。
2.
rbIFNτ 50mg/day投与区では、処置牛の半数(2頭)で発情周期が7.0あるいは8.0日延長した。また、rbIFNτ 200mg/day投与区では4頭とも発情周期が処置前に比べて5.5~7.5日延長した(表1)。
3.
rbIFNτの子宮内連続投与により発情周期の延長した個体(50mg/day投与区のAとD牛及び200mg/day投与区全頭)においては、黄体退行が遅れるとともに、血漿中プロジェステロン値が高値に維持される期間が延長した(図1)。
4.
本研究で用いたrbIFNτが生理活性を有することから、バキュロウイルス発現系により作出したrbIFNτは受胎認識機構の解明のために利用可能である。
成果の活用面・留意点 1.
胚移植の現場に応用するために、投与期間短縮や受精卵移植時の同時投与による受胎率改善効果についての検討が今後必要である。
図表1 226727-1.gif
図表2 226727-2.gif
カテゴリ 受精卵移植 肉牛 繁殖性改善

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