越夏性に優れる安定多収なハイブリッドライグラス新品種「ハイフローラ」

タイトル	越夏性に優れる安定多収なハイブリッドライグラス新品種「ハイフローラ」
担当機関	山梨県酪農試験場
研究期間	1983～2000
研究担当者	田瀬和浩山田敏彦杉田紳一進藤武郎高橋僚一福沢昭文横山紅子保倉勝己岸田諭俊駒井文彦菊島孝小泉伊津夫
発行年度	2000
要約	ハイブリッドライグラス「ハイフローラ」は越夏性、越冬性、冠さび病・葉腐病抵抗性に優れ、1年目からイタリアンライグラスと同程度かやや多収を示し、2年目以降は「テトリライト」よりも安定多収で、とくに秋期の収量性に優れる。
キーワード	ハイブリッドライグラス、越夏性、越冬性、冠さび病、葉腐病、安定多収、収量性
背景・ねらい	イタリアンライグラスの旺盛な初期生育、春季の優れた草勢、嗜好性などの特性と、ペレニアルライグラスの永続性、越夏性、越冬性の良さなどの特性を併せもつわが国に適したハイブリッドライグラス品種の育成を目指し、1983年から育種を開始し、越夏性、病害抵抗性に優れる安定多収な「ハイフローラ」を育成した。
成果の内容・特徴	出穂期は既存ハイブリッドライグラスの「テトリライト」より2日早く“中生” に属する（表1）。乾物収量は1年目は「テトリライト」より多収で、イタリアンライグラスの極長期利利用型「エース」よりやや多収で、「アキアオバ」と同程度である。3年間合計乾物収量はいずれの品種より明らかに多収である（図1）。季節別には春期、夏期、秋期のいずれの時期でも高く、とくに秋期の収量に優れ2～3年間の利用が可能である（図2）。永続性は1年目乾物収量に対する3年目の比及び秋の被度から「テトリライト」より優れる（表1）。越夏性は越夏後の再生草勢から「テトリライト」より優れる（表1）。病害抵抗性は、冠さび病は「テトリライト」より優れ“極強”で、葉腐病、雪腐病も「テトリライト」より優れる（表1）。越冬性は「テトリライト」より優れ、耐雪性も「テトリライト」より優れ“強”である（表1）。耐倒伏性は「テトリライト」よりやや劣る（表1）。
成果の活用面・留意点	普及対象地域は本州以南の高冷地、準高冷地で、主に飼料畑や混播草地での採草用として利用可能である。これまでイタリアンライグラスが越冬性等の問題で栽培できなかった地域で利用年限の拡大を含めた利用、混播草地での初期収量の確保あるいは草地の簡易更新用の利用が期待される。耐倒伏性がやや弱いので1番草の刈取りは遅れないように留意する。また混播草地では播種量や窒素施用量が多いと多年生草種の初期生育を抑圧するので注意する。
図表1
図表2
図表3
図表4
カテゴリ	育種イタリアンライグラス新品種抵抗性播種病害抵抗性品種