湿潤熱帯林の土地利用変化に伴う土壌からの温室効果ガス発生・吸収量の変動

タイトル 湿潤熱帯林の土地利用変化に伴う土壌からの温室効果ガス発生・吸収量の変動
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間 2001~2001
研究担当者 須藤重人
中島泰弘
鶴田治雄
米村正一郎
発行年度 2001
要約 インドネシア・スマトラ島の湿潤熱帯林土壌からの亜酸化窒素フラックスは3ヶ年平均値で数μgNm -2h -1と、他地域の湿潤熱帯林に比較して小さく,季節変化がみられなかった。土地利用変化により伐採・焼却されると,亜酸化窒素の発生が急増したが,ゴムの植栽後は次第に減少し、約2年半後に伐採・焼却以前の値に戻った。
背景・ねらい 熱帯アジアでは,人口の急増とともに,熱帯林や泥炭湿地帯などの陸域生態系が消失して農耕地やプランテーションになるという土地利用変化が急速に起こっている。それにともなって,温室効果ガスの発生・吸収量が大きく変化すると推測されており,それらの研究の重要性と緊急性がIPCCやIGBPなどの国際組織により指摘されているが,熱帯アジアではこれまで組織的な調査研究はなされていなかった。そこで,インドネシアの研究者と共同でスマトラ島の湿潤熱帯林とその周辺地域において現地調査を実施し,湿潤熱帯林およびその土地利用変化に伴う土壌からの温室効果ガスの発生・吸収量を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. スマトラ島ジャンビ県内の湿潤熱帯林(表1のL1地点)では、土壌からの亜酸化窒素(N 2O)フラックスは伐採・焼却後に急増したが,ゴム植栽後次第に減少し,2年半後には伐採・焼却以前のレベルに戻った(図1)。メタン(CH 4)の吸収フラックスは伐採・焼却前後に小さくなったが,その後再び大きくなった。二酸化炭素(CO 2)は、伐採・焼却後に減少したが、1年後には回復した。
  2. 一次林(P1)やゴム園(R)などでは,CO 2フラックスは雨期に大きく乾期に小さい季節変動を示したが、N 2OとCH 4のフラックスの季節変化はほとんど見られなかった。
  3. N 2Oフラックスの3ヶ年(1997年9月~2010年9月)平均値は、一次林(P1)とゴム園(O)で数μgNm -2h -1と最小で,他地域の湿潤熱帯林土壌と比較して小さかった。また、L1地点では10μgNm -2h -1と最大であり(図2)、土地利用形態別のN 2Oフラックスは、土地利用変化に伴う時系列変化(図1)とよく対応した。
成果の活用面・留意点
  1. 本調査結果は熱帯アジア地域で初めての実測データであり、今後のIPCCの温室効果ガスインベントリー等へ貢献する。
  2. 熱帯林土壌(P2地点)でメタンの発生がみられた。
図表1 225315-1.JPG
図表2 225315-2.JPG
カテゴリ 季節変動

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